平成29年度 学位記授与式を挙行(2017/06/26)

イベント報告 2017/06/28

 6月26日(月)、事務局棟2階大会議室において学位記授与式を挙行しました。  
 授与式では、横矢直和学長が、出席した4名の修了生一人ひとりに学位記を手渡し、門出を祝して式辞を述べました。

 式終了後には記念撮影も行われ、修了生は和やかな雰囲気のもと、学長、理事をはじめ研究科長を交えて歓談し、喜びを分かち合いました。

※ 今回の修了生の内訳は、以下のとおりです。

【博士後期課程修了者】

 情報科学研究科     4名

 バイオサイエンス研究科 1名

 物質創成科学研究科  2名

 計              7名

【学長式辞】

 本日、博士の学位を授与された4名の皆さん、おめでとうございます。

 なお、皆さんの他に、本日欠席している3名を加えた、計7名が博士後期課程を修了します。皆さんは、独立したプロの研究者・技術者として、新しい社会人生活がこれから始まります。

 現在、科学技術は大変革の時代にあり、科学技術の変化とともに、社会も大きく変わろうとしています。

 ここ数年の科学技術のキーワードは情報科学に関連するICT技術であるビッグデータ、Internet of Things(IoT)、人工知能(AI)です。これらの技術は社会に大きな影響を与え、多くの人の職業が変わるだろうと言われていますが、情報以外の科学技術分野への影響も無視できないと思います。

 例えば、バイオサイエンス分野ではバイオインフォマティックス(Bio-Informatics)と呼ばれる研究領域が既に存在し、物質科学の分野でもマテリアルズインフォマティックス(Materials Informatics)という言葉が登場しています。

 あらゆるものがインターネットにつながり、「サイバー世界」と「実世界」が融合した「超スマート社会」に向けて、リアルタイムで収集・蓄積され、ネットワークを介して世界中からアクセス可能な大規模データの解析に基づく、データ駆動型サイエンスあるいはAI駆動型サイエンスと呼ぶべき新しい研究パラダイムが生まれています。

 今日、学位を授与された皆さんは、情報科学、バイオサイエンス、物質創成科学という異なる領域において自身の研究を極められたわけで、これまでに領域を超えて一緒に研究したことはないと思いますが、将来、同じチームで仕事をしているということになるかもしれません。

 皆さんは、広い視野を持つことによって科学技術の変革に柔軟に対応し、常に新しい分野を開拓し続けることのできる人材として、新しい科学技術の創造と活用に、主体的に取り組んでいっていただきたいと思います。

 研究者は常に自らの研究課題の意義を自覚し、説明する必要がありますが、同時に、自らの研究成果がどのように利用されるかを考えておく必要もあります。

 科学技術は正しく使われることもあれば、悪用されることもあります。悪用される可能性に気づけば、それを阻止することが新しい研究テーマに繋がることもあるしょう。

 皆さんは、本学でそれぞれの分野において専門知識を習得したわけですが、それ以上に、学位論文研究を通して身につけた、課題を発見し、その解決法を考え、実践し、その結果を評価し、様々な人と議論し、論文にまとめるという、苦しいこともあったであろう経験、そして、本学で築いた様々な人的ネットワークが、皆さんの今後の研究者・技術者としての創造的な生活を保証していると確信しています。

 奈良先端大の役割は、皆さんを社会に送り出したことで終わるのではなく、変化して行く科学技術・社会の中で、皆さんが持続的にクリエイティブな生活を送ることができるように、修了生の方々との持続的な関係を構築して行くことも重要な役割であると教職員は考えています。

 今日、学位が授与された修了生のうち6名が留学生です。皆さんを通じて、大学として、未来と世界の課題解決のために、世界で活躍する修了生の方々とのネットワークを広げていきたいと思います。

 皆さん、本日はおめでとうございます。今後の益々の活躍を期待するとともに、今後も奈良先端大は、皆さんの活躍を支援していきたいと思います。

平成29年6月26日
  奈良先端科学技術大学院大学長 横矢直和

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