〔プレスリリース〕パンデミックプログラミング:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による外出自粛期間中の在宅勤務がソフトウェア開発業務にどのような影響を与えているかのアンケート調査結果速報

研究成果 2020/05/15

 奈良先端科学技術大学院大学(学長:横矢直和)先端科学技術研究科 情報科学領域ソフトウェア工学研究室の畑秀明助教は、カナダ・ダルハウジー大学のポール・ラルフ教授が主導した、COVID-19の影響による外出自粛期間中の在宅勤務がソフトウェア開発者のウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること)の状況と生産性にどのように影響しているかを探る国際的なアンケート調査の日本語版担当として携わり、その結果を発表しました。

 このアンケート調査は、各国のソフトウェア工学研究者によって、アラビア語・中国語・英語・フランス語・イタリア語・日本語・韓国語・ペルシャ語・ポルトガル語・スペイン語・ロシア語・トルコ語の12言語で用意され、COVID-19の影響でオフィスから在宅勤務に変更した、2,225人の有効回答を得ました。50人以上の有効回答があった、ドイツ・ロシア・ブラジル・イタリア・米国・韓国・ベルギー・中国・トルコ・インド・日本・スペインの他、計53カ国からの回答がありました。

 アンケート結果を統計的に分析した結果、ソフトウェア開発者のウェルビーイングと生産性に悪影響が出ており、ウェルビーイングの状態と生産性には密接な関係があることも判明。人間工学的に好ましい在宅勤務環境であれば、ウェルビーイングと生産性の改善に役立つこともわかりました。また、女性や、子を持つ親、障害を持つ人々が特に大きな影響を受けており、その実態に応じて一律でないサポートが必要であることなどが明らかになりました。

 分析結果から、ソフトウェア企業は、COVID-19の影響による外出自粛期間中に在宅勤務する従業員のウェルビーイングを支援するために、機器やサービスなど何を必要としているかを従業員にきめ細かく尋ねるなど、在宅勤務環境をよりよくする手助けをするとともに、これまでと同レベルの生産性を求めないことや、その生産性によって解雇や人事異動などの決定をしないよう配慮することが重要であると思われます。  

 本研究結果は、速報としてプレプリント・サーバーのarXiv.orgに公開しております。
https://arxiv.org/abs/2005.01127

Paul Ralph, Sebastian Baltes, Gianisa Adisaputri, Richard Torkar, Vladimir Kovalenko, Marcos Kalinowski, Nicole Novielli, Shin Yoo, Xavier Devroey, Xin Tan, Minghui Zhou, Burak Turhan, Rashina Hoda, Hideaki Hata, Gregorio Robles, Amin Milani Fard, Rana Alkadhi Pandemic Programming: How COVID-19 affects software developers and how their organizations can help eprint arXiv:2005.01127

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