令和2年度学位記授与式を挙行(2020/9/25)

イベント報告 2020/09/30

 9月25日(金)、新型コロナウイルス感染症感染防止対策を実施の上、ミレニアムホールにおいて学位記授与式を挙行しました。

 授与式では、横矢直和学長から修了生代表者に学位記が手渡され、門出を祝して式辞が述べられました。

 また、当日は、式典の模様をインターネットによりリアルタイムで配信したほか、式典終了後の会場を記念撮影のために開放し、修了生たちは和やかな雰囲気のもと、指導教員等を交えて歓談し、喜びを分かち合いました。

※ 今回の修了生の内訳は、以下のとおりです。

【博士前期課程修了者】

先端科学技術研究科     30名(うち留学生26名)

【博士後期課程修了者】

情報科学研究科       9名(うち留学生7名)

バイオサイエンス研究科   6名(うち留学生4名)

物質創成科学研究科     10名(うち留学生8名)

先端科学技術研究科     2名

【論文提出による博士学位取得者】

バイオサエンス研究科    1名

総計 58名(うち留学生45名)

【学長式辞】

 本日、修士の学位を授与された30名の皆さん、博士の学位を授与された28名の皆さん、学位取得、おめでとうございます。今回の修士・博士合わせた学位取得者58名のうち、8割近くの45名は母国を離れて本学での勉学を選ばれた海外からの留学生です。

 本日の学位記授与で、本学創設以来の学位取得者数は、修士8,362名、博士1,732名となり、本学の修了生のネットワークが年々広がっています。この中には、修士384名、博士360名の留学生の方々がおられ、修了生ネットワークは益々国際的な広がりを見せています。

 今年の1月下旬に、日本で初めての新型コロナウイルス感染が奈良県で確認されてから徐々に全国に感染拡大が及び、感染爆発が危惧される事態となりました。4月上旬には一部地域に「緊急事態宣言」が発出され、4月中旬には対象地域が全都道府県に拡大されたことから、奈良県も1か月近くに亘って緊急事態宣言が続くこととなりました。このため、本学での活動も様々な制約を受けることになりました。この感染症禍はいまだ収まっておらず、本日の学位記授与式も、参加者を制限するなど、従来と比べると、規模が縮小されています。

『天災は忘れた頃にやってくる』という寺田寅彦の有名な言葉がありますが、いわゆるスペイン風邪以来の、まさに百年ぶりの世界規模の感染症禍です。

 このような状況の下で、修士論文研究や博士学位論文研究に取り組み、学位取得に至った皆さんの努力に心から敬意を表します。

 今日、修士の学位を取得された皆さんの中には、後期課程に進学し研究者を目指してさらなる研鑽を積む方と、社会に出てプロの専門技術者あるいは研究者として新しい社会人生活を始める方がいらっしゃいます。また、博士の学位を取得された方の多くは、プロの研究者としての一歩を踏み出すことになります。

 現在、科学技術はかつてない大変革の時代にあり、科学技術の変化とともに、社会も大きく変わろうとしています。2040年代には、コンピュータの能力が人間の知の総和を越え、シンギュラリティ(Singularity)に到達し、その頃には、今、存在している職業の半分以上がなくなり、新しい職業ができているだろうとも言われてきました。今回の感染症禍を受けて、不確定な要素がさらに増えると思われます。皆さんはこの「ニューノーマル」の社会をこれから体験することになります。

 2040年代というのは、皆さんの世代が社会の中核を担う時代です。皆さんは、情報科学、バイオサイエンス、物質創成科学とその融合領域において、それぞれの専門性を磨いてこられたわけですが、これからは、今まで以上に、周辺分野にも目を配って広い視野を持つことによって、科学技術と社会の急激な変化に柔軟に対応し、挑戦心を持って常に新しい分野を開拓し、新しい社会を築いていける人材として飛躍して頂きたいと思います。

 皆さんが本学で修士論文研究と博士学位論文研究を通して身につけた、課題を発見し、その解決法を考え、実践し、その結果を評価し、様々な人と議論し、論文にまとめるという能力とその過程での経験は大事な財産です。

 新型コロナウイルス禍による思いもよらなかった事態に遭遇したことも含めて、苦しいこともあったであろう経験、そして本学在学中に築いた様々な人的ネットワークが、皆さんの将来を保証すると確信しています

 奈良先端大の役割は、皆さんを社会に送り出したことで終わるのではなく、変化して行く科学技術・社会の中で、皆さんが持続的にクリエイティブな生活を送ることができるように、修了生の方々との持続的な関係を構築して行くことも重要な役割であると教職員は考えています。

 最近は毎年、秋のオープンキャンパスに合わせてホームカミングデーを実施しています。今後も、このようなイベントを継続したいと思っていますので、その時には、是非、在学生の前にロールモデルとして帰ってきてください。ポストコロナの「ニューノーマル」の中では、オンライン参加の形態も検討すべきでしょう。その場合には、リアルとバーチャルが融合したハイブリッド型のホームカミングデーということになります。

 また、修了生ネットワークの中核である同窓会活動に加えて、インドネシアやタイに設置した海外サテライトオフィスなどを通して世界で活躍する修了生の方々との海外ネットワークも強化したいと考えています。最初に述べましたように、今日、学位を授与された皆さんのうち、45名は留学生です。皆さんにもこのような活動に積極的に参加して頂きたいと思います。

 皆さん、本日は学位取得おめでとうございます。最後に、今後の益々の活躍と飛躍を期待していることをお伝えして、式辞としたします。

令和2年9月25日 奈良先端科学技術大学院大学長 横矢直和

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