研究成果 2021/12/24
高分子太陽電池の高性能化の決め手になる添加剤の働きの可視化に成功
~ナノスケールでの発電ネットワーク解明~
概要
奈良先端科学技術大学院大学(学長:塩﨑一裕)先端科学技術研究科 物質創成科学領域の山形侑嗣(大学院生)、辨天宏明准教授、中村雅一教授らのグループは高分子太陽電池の作製時に用いる溶媒添加剤の働きをナノ(10億分の1)メートルのスケールで可視化することに世界で初めて成功した。
高分子太陽電池は、電子(マイナスの電荷)と正孔(プラスの電荷)をそれぞれ輸送する2種類の高分子(共役高分子)を溶かした液体を電極上に塗って膜状に固めるだけでできる。このため、製膜条件の最適化が発電性能向上の鍵となる。これまで、溶媒添加剤と呼ばれる溶媒(高沸点溶媒)を製膜溶液にごく少量加えることで発電性能が向上することが経験的に知られていたが、その仕組みは詳細に理解されていなかった。
そこで、研究グループは、ナノ空間の領域での電流-電圧特性を計測できる走査型プローブ顕微鏡という装置を駆使して、添加剤を加えて作製した太陽電池内を流れる光電流を可視化した。その結果、添加剤を加えた太陽電池内では、共役高分子でできた膜構造の秩序化が進み、生成した電荷を外部電極に効率よく輸送するネットワークがナノスケールで形成することを突き止めた。
本研究にて明らかになった溶媒添加剤の働きは高性能化の指導原理として高分子太陽電池の開発に広く応用可能であると期待できる。
詳細はこちら
問い合わせ先
<研究に関すること>
奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 物質創成科学領域 有機エレクトロニクス研究室
准教授 辨天 宏明(べんてん ひろあき)
TEL:0743-72-6027 FAX:0743-72-6047
E-mail:benten[at]ms.naist.jp
<報道に関すること>
奈良先端科学技術大学院大学 企画総務課 渉外企画係
TEL:0743-72-5063 FAX:0743-72-5011
E-mail:s-kikaku[at]ad.naist.jp
※上記の[at]は@に置き換えてください。