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概要

せんたん JAN 2018 VOL.26

~イノベーションを先導するエネルギー材料の新潮流~奈良先端科学技術大学院大学は、「奈良先端大東京フォーラム2017『未来への挑戦』~イノベーションを先導するエネルギー材料の新潮流~」を昨年11月、東京において開催しました。再生可能エネルギー活用の主流である太陽電池など先進技術から、未来の材料科学まで、産官学それぞれの立場から最新の成果や実情が報告され、今後の課題について話し合いました。技術を社会へ国立研究開発法人産業技術総合研究所理事長基調講演中鉢良治氏産業革命は18世紀後半からイギリスで始まりましたが、そのビジネスモデルは圧倒的な技術革新力、それを実現する資源の確保、そして資本の3つがコアであったと私は考えています。産業革命以前の経済活動は動力源を人力に依存していたので、人口の増加は生産面では好都合でも、個々人の食糧を不足させるジレンマを抱えていました。そのジレンマも、産業革命で蒸気機関の利用や化学肥料の大量生産が可能となって解消され、飛躍的な経済成長がもたらされました。一方、日本の産業革命は、明治政府が富国強兵策で西洋の新技術を積極的に取り入れていったことによって「奇跡的に」成功したと考えられていますが、実は江戸時代末期に各藩が新技術の導入を進めたことが下地になっていたのではないかと思います。このような産業革命による経済成長の一方で、資源は有限であり、技術は公害などリスク社会を招くことも明白になってきました。また、資本は富の集中を加速し、格差を拡大させる結果となりました。すなわち、資源・技術・資本をコアとする産業革命のビジネスモデルに限界が見えてきたのです。これまでのように資源を大量に採掘して製品を生産し、大量に消費して廃棄するプロセスは、持続しないことがわかったわけです。それでは持続可能な社会をつくるためにはどうしたらいいのか、最終的なゴールは、資源循環型社会、低炭素社会、そして自然共生社会を実現することにあると考えています。そのためには、このゴールに向かっていち早く第一歩を踏み出すことです。人類最大の資源である太陽エネルギーを始めとして、資源を費やすことから活かす考え方へ変えることも必要です。経営の観点でいえば、単期のP/L(損益計算書)も大事ですが、B/S(貸借対照表)をきれいにして、良き資産を未来に託すことも重要だと思います。持続可能な技術の開発は人類の総力を挙げて取り組むべき課題であり、個人や組織、国を超えて、地球未来の共通善を追及することが大切です。