ブックタイトルSENTAN せんたん JAN 2019 vol.27

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概要

SENTAN せんたん JAN 2019 vol.27

NAIST OB・OGに聞くユーラシア大陸最西端のロカ岬にて(ポルトガル)スイスはヨーロッパの中央に位置するため、旅行もしやすい国です。藤田智史Satoshi Fujitaローザンヌ大学ポスドクProfile : 2013年度博士後期課程修了(バイオサイエンス研究科植物細胞機能講座)アレッチ氷河へのラボ遠足にて。ラボは先端大のラボにくらべて小規模ながらメンバーの国籍は11か国と国際色豊かな研究室。現在、私はスイスのローザンヌ大学でポスドクをしています。ローザンヌは人口10万人ほどの街でスイスの中ではチューリッヒやジュネーブといった大都市に比べるとこじんまりしていますが、生活には何一つ不自由しない住みやすい街です。大学も湖のほとりの公園のなかにぽつんぽつんと建物が配置されていて、近くで羊が草を食んでいる。いかにもスイスな雰囲気ですが、それとはうってかわり建物の中は最新鋭の設備と充実したファシリティ、多数の世界的に有名なPIを擁する研究環境です(昨年は同じ建物からノーベル化学賞受賞者が輩出されました)。私は現在ここでNiko Geldner教授のもとで植物を用いた細胞生物学的研究をして4年以上になり、そろそろ次の職に移らなければと思っているところです。私が植物を使った細胞生物学に興味を持ったきっかけは、学部時代に出張講義にいらした橋本隆教授から表層微小管と呼ばれる植物の成長を支える細胞内構造物を聞いたことでした。細胞レベルの現象から個体レベルの現象を説明できるのではないかということに非常に魅力を感じてN A I S Tに入学し、橋本研で長い間お世話になりました。結局、学位論文は「植物細胞におけるリン酸化シグナル伝達経路による細胞骨格の制御」という細胞レベルで終わる話になってしまったのですが、それでも幸いなことに井上科学財団から賞をいただくこともできました。当時の橋本研はハードワーカーでかつ頭の切れる先輩達やスタッフの集まりで、入った当初は相当戸惑いました。それでもこの中でやっていけなければ未来はないと思い、たくさん迷惑をかけながらもそれに何とか必死についていこうとした経験が今も生きているかと思います。「最初のデータが出るまではとにかく思いつくことは全部やれ」、と励まし続けてくださったたくさんの先輩方には感謝しきれません。私の場合、最初のデータらしいデータが出たのは博士課程2年の春でしたので、それまで辛抱強く支えてくださった橋本先生や加藤壮英助教にはこれからもずっと頭が上がりません。先端大では充実したラボの設備、サポートに加えて大学技術職員の方々によって共通機器や施設が常に適切な状態に保たれ、また研究室間で色々と融通が効いたことも研究を滞りなく進める上で非常に助かりました。これからもあのころの修行時代を忘れず、なんとか細胞でおこる現象から個体レベルの現象を理解する努力をし続けたいと思っています。S E NTAN1 8