ブックタイトルSENTAN せんたん JAN 2019 vol.27
- ページ
- 5/24
このページは SENTAN せんたん JAN 2019 vol.27 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
このページは SENTAN せんたん JAN 2019 vol.27 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。
SENTAN せんたん JAN 2019 vol.27
理化学研究所革新知能統合研究センター(AIP)センター長杉山将氏奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学領域教授太田淳奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス領域教授出村拓のシニア、留学生らが加わった混成チームです。若い学生と実験を通じて互いの知識や体験を交換するなど生涯教育の場としてもよい効果があります。高橋氏情報機器の発達についていけない高齢者にとって暮らしやすい社会になりますか。太田氏いまは過渡期で、今後、こういった情報機器、電子機器が進歩していくと、技術に余裕が出てくるので、人がより使いやすく、より直感的に動かせるといった、人に寄り添う技術になっていくと考えています。杉山氏AIの技術は人間を助けるためにあるはずです。これまで、専門家向けとされた情報機器は扱いにくいインターフェースなどがなくなり、「ついていけない」という壁は下がっていくでしょう。荒木氏情報機器の使い易さは、高齢者に関わらず直感的に使いこなせることであり、技術を提供する側の責務であるとともに、ユーザーも「このように使いたい」と声を上げていただきたい。高橋氏これからの時代は地球環境などの持続可能性という視点も欠かせません。出村氏奈良先端大では「ヒューマノフィリック(人に優しい)・イノベーション」という新しい取り組みを行っています。学内のいろんな研究を結びつけて、地球にやさしい素材を最大限に利用して、人にやさしい生活、社会環境の実現を目指すという趣旨で、人だけでなく地球環境全体を強く意識しています。また、私は、文部科学省の新学術領域の研究として、植物自体が力学的に安定した構造を作りながら成長するという最適化戦略について多方面から調べ、持続性のある木造建築物などに役立てる研究をはじめました。太田氏私の人工視力の研究に関しては、モノ(無機物)と生物(有機物)という全く異なる仕組みをどのようにして融合するか。そのバランスを考えた技術が重要になってくる。この分野での成功例は完全に聞こえなくなった人に聴覚を取り戻す人工内耳で、人に寄り添った技術といえます。杉山氏今の研究は成果が評価されやすい見えるテーマにシフトしやすい。ただ、そのためには、関連する分野の見えない基礎研究の積み上げが必要で、そこにも目を向けサポートする社会体制を整えれば、科学技術の未来は明るいといえます。上司氏いまの生き方が便利という言い方には一番優先すべきものが経済という意見が含まれ、私は「命の方が大切」と言いたい。地球の寿命をいたずらに早く終わらせてはないためにも、「少欲知足(欲を少なくし、足るを知る)」に叶う科学が登場することを期待しています。S E NTAN0 4