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概要

せんたん JAN 2020 VOL.28

吉田子どもさんたちから、私達の微生物の研究に寄付したいという申し出があり、社会に支えられていることを身近に感じました。改めて研究者としての在り方や方向を考えています。松原AIやロボットの世界が好きで研究を始めました。10年経って、社会のニーズが高まり、忙しくなりましたが、日々の研究の楽しみを継続して心豊かになることが大切と心がけています。多川知りたい欲望には、自分の研究が世の中の役に立つという思いが含まれていて、善欲と言えます。同時に社会の側からは、研究の成果の還元を望んでいるので経過報告をしないと断絶を広げることになります。社会の一員であることを強く意識して研究倫理の問題も考えてください。当面の課題藤沢企業との研究を進めるための当面の課題は何ですか。吉田企業の方が相談に来られますが、企業間の利害関係があってなかなか、そろって同じ方向には行けません。大学人や企業人が一つの目標に向かって集まれる場が必要です。畑中若い研究者の場合、企業と大学のコラボでは、自分のオリジナルなアイデアの部分がわかりにくく、次の職を探す際にアピールし難いと感じている人もいます。企業と大学では成果を評価するシステムが異なることに起因する問題で、今後解決策を考える必要があります。松原大学ではできない実験を企業でできるなどいい形で研究できています。ただ、ドイツのフラウンフォーファー研究機構のような長期に一体感を持って取り組める場があれば、と思います。濵口この10年で大学発ベンチャーが増加し、一方で、ベンチャーを大企業が買収して時代に即応するようになりました。若い研究者にとっての利点であり、何が必要かを具体的に詰めれば、テーマが見えてきます。また、大学の研究は、民間に比べて長期間かかるので、研究の現場を国民に見てもらい、将来の夢に投資をしてもらうという、社会の文化の育成も重要です。人間と共存する科学藤沢今後、科学技術が進化して、人間と共存したときにどんな課題があるでしょうか。多川科学者には、哲学をぜひ身に付けていただきたいです。研究室は成果が出るまで、他の人が関われない奈良先端科学技術大学院大学研究推進機構-特任准教授吉田昭介聖域ですから、哲学的な面での自己チェックをしてほしいです。濵口研究者の自律性をどこまで自分たちが保証できるのか、プライドを持って説明できるかどうかは、独り立ちする研究者に求められます。自分の専門以外の人に説明できる心の準備をしながら、日々の仕事をこなすことが必要です。藤沢時代とともに研究環境が変わり、科学者の在り方も変わっていく。そこで、研究成果を伝えていく、開示していくことの大切さを、改めて別の角度から教えられました。S E NTAN04