ブックタイトルSENTAN せんたん MAY 2019 vol.28

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概要

SENTAN せんたん MAY 2019 vol.28

受賞◆受賞の対象となった研究業績「教師なし系列マッチング」情報科学領域自然言語処理学研究室和田崇史さん(博士前期課程2年)が、情報処理学会2018年度山下記念研究賞を受賞!山下記念研究賞は、情報処理学会の研究会および研究会主催シンポジウムにおける研究発表のうちから特に優秀な論文を選び、その発表者に贈られているものです。和田さんが2017年12月開催の情報処理学会自然言語処理研究会において発表し講演した論文が優秀な論文と認められ、今回の受賞となりました。◆受賞研究の概要「系列マッチング」とは異ドメインで同じ内容の系列データをマッチングする研究であり、本研究は異なる言語で同じ意味の文を発見しマッチングすることを行いました。本研究は特に、対訳辞書や対訳コーパスのようなバイリンガルデータを用いない「教師なし」の手法を提案しました。提案手法は、異なる言語間で共通の語順や文構造を各言語のコーパスから学習することで、各言語の対応関係を発見します。その結果、イタリア語や英語、スペイン語のような基本的な語順が近い言語間(例:主語-動詞-目的語の語順が共通)において、既存の教師なし手法よりも精度よく文をマッチングする事に成功しました。加えて、対訳辞書データを用いる「教師あり学習」を用いた手法と比べても、教師データが少ない場合においては提案手法のほうがより精度が高いことを実験的に示し、本研究の有用性の高さを示しました。◆受賞についてのコメント研究室の歴代の先輩方が受賞されてきた賞を今回自分も受賞する事ができ、非常に光栄に思います。本研究はNTTコミュニケーション科学基礎研究所との共同研究の成果であり、長期間にわたって指導していただいた共同研究者の岩田具治さんには非常に感謝しております。この受賞を糧に、今後も精進していきたいと思います。◆受賞の対象となった研究業績「膜タンパク質YidCとSecDFの結晶構造から解明されたタンパク質輸送の原理」バイオサイエンス領域構造生命科学研究室古川新さんが、井上科学振興財団における「第35回(2018年度)井上研究奨励賞」を受賞!膜分子複合機能学(現:構造生命科学)研究室に在籍されていた古川新さん(現:協和発酵キリン(株)バイオ生産技術研究所)が、井上科学振興財団における「第35回(2018年度)井上研究奨励賞」を受賞しました。本賞は、理学、医学、薬学、工学、農学等の分野で過去3年の間に博士の学位を取得した37歳未満の研究者で、優れた博士論文を提出した若手研究者に対し授与されるものです。◆受賞研究の概要生体膜へのタンパク質膜組込みや膜を越えた輸送は、全ての生物に必須の現象です。本研究では、バクテリアにおいてタンパク質膜組込みを行うYidCおよびタンパク質膜透過を駆動するSecDFのX線結晶構造解析・機能解析を行いました。YidCの解析では、YidCの機能に重要なアミノ酸の同定ならびに輸送されるタンパク質との相互作用部位を同定し、YidCの結晶構造と統合して、YidCによるタンパク質の膜組み込みモデルを提唱しました。SecDFの解析では、これまでに知られていなかった計4種類の構造を決定し、SecDFは遠く離れた領域を含む全てのドメインが細胞内への水素イオンの流入に伴うエネルギーを利用してダイナミックに構造変化を起こし、タンパク質膜透過を駆動するという作業仮説を提唱しました。これらの研究成果は、今後のタンパク質輸送研究のための基盤情報となります。◆受賞についてのコメントこの度、「第35回井上研究奨励賞」を受賞することができ、大変光栄に思います。この賞をいただくことができたのは、ご指導いただいた塚崎教授や田中助教を始め、研究を進める上でお世話になった研究室のみなさんのおかげであり、心より感謝いたします。今回の受賞を励みに、より一層の努力を重ね、科学を通して社会に貢献できるように頑張っていきたいと思います。14 S E NTAN