ブックタイトルSENTAN せんたん JAN VOL.29
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SENTAN せんたん JAN VOL.29
知の扉を開く自然免疫を読み解き、ピンポイントの治療の道を拓くバイオサイエンス領域分子免疫制御研究室教員紹介河合太郎教授織大?助教川﨑拓実助教や樹状細胞などが認識して食べる。そのときは、病原体の種類まで特定できないが、炎症を起こしたり、樹状細胞が病原体の抗原を提示したりして、第二段階の「獲得免疫」を誘導する。そこで、感染した細胞ごと殺すキラーT細胞や、病原体を特定して攻撃する抗体が働き、自然免疫をすり抜けてきた病原体をピンポイントで処理する。このような仕組みにもとづき、ワクチン開発など治療の研究が進む中で、「自然免疫」の重要性がクローズアップされているのは、樹状細胞の膜表面に病原体共通の成分、DNAなどを感知するセンサーの受容体(TOLL様受容体など)が多数あり、敵の正体をかなり絞り込んでチェックしていることがわかってきたからだ。河合教授は大阪大学の大学院に在籍時にこの発見に携わって以降、一貫して自然免疫の研究に取り組んでいる。その成果は高く評価され、引用回数の多い論文の著者上位1%のHighlyCited Researchersに免疫学の分野で毎年選出されている。獲得免疫を誘導感染した病原体やがん細胞を退治する免疫の生体防御システム。その複雑な機構に関わる物質や細胞などの役割分担が詳細に明らかになるとともに、免疫が破たんした時に生じる病気に対し、予防や治療の焦点が絞り込まれている。河合教授は、「病原体などを異物と認識して自然免疫のシステムを稼働する過程の情報伝達の仕組みを解析。さらに、その伝達経路の異常により生じる炎症性疾患、アレルギー、自己免疫疾患といった病気の成立ちを調べ、治療に結びつける研究をしています」と説明する。免疫のシステムは大きく分けて2段階で進行する。第1段階の「自然免疫」では、侵入した病原体を白血球の一種であるマクロファージ喘息を軽減「応用面では自然免疫を基盤に、獲得免疫を効率よく、副作用なく誘導するという研究に取り組んでいます」と河合教授。最近の成果は、肺に局在するマクロファージの分化・成熟を進め、肺特有の自然免疫の機能を持たせることで、喘息など慢性の炎症疾患を軽減する可能性を示唆したことだ。マクロファージは、体の成長とともに分化し、肺など組織の特性に応じた機能を発揮することが知られている。河合教授、川崎助教らは、生体内のリン脂質(イノシトール5リン酸)を代謝する酵素(PIKfyve)が作れず、喘息を起こしやすくなったマウスの実験から、この酵素が、肺のマクロファージの分化を促進する機構の中心的な役割を担っていることを突き止めた。また、このリン09 S E NTAN