ブックタイトルSENTAN せんたん JAN VOL.29

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概要

SENTAN せんたん JAN VOL.29

予想外の結果が道拓くて、探針で表面をなぞって調べる走査トンネル顕微鏡や、原子の周期的な並び方がわかる電子ビーム回折の装置一方で予想外の物質が生じ、新たな方向に発展したのを使い、観察することに世界で初めて成功した。が、新学術領域研究「配位アシンメトリー」のテーマ。ピレンと「研究室では、超高真空で試料を解析したうえで、真空中でいう炭素化合物を4個つなげて輪になった物質を作ろうとし加熱して非常に平坦な表面をつくる技術は開発しています。側たところ、5個つながった物質ができ、それが非対称な構造で光学活性(キラル)の性質を示したことだった。キラルなフラーレンを鋳型にして、別のナノカーボンの鏡像異性体の一方だけ集める不斉転写システムの構築を目指す。「設計した分子を美しい形で合成でき、思い通りの機能を発揮させるのは有機化学の醍醐味で、成功した時は感動を覚えます。ただ、予想外の結果を得たときも有機化学の奥深さを味わい、新しい発想が生まれます」と振り返る。直接指導した学生のうち半数以上が博士後期課程に進学しており、「小さくても自分だけの発見を体験した学生とその感動を共有していると、研究意欲が湧くようです」と話す。高精度な半導体の表面をつくり、立体化を実現するはっとりけん服部賢准教授物質創成科学領域凝縮系物性物理学研究室微細化の限界を超えるコンピュータなどの情報処理の担い手であるシリコン半導体は、膨れ上がる情報量に対応するため、立体化の方向をたどっている。現在の平面の基板に電子回路を刻む製法では、回路幅の微細化は技術的限界にさしかかり、それを乗り越えるには、回路の層を積み上げて一体化する必要が出てきたからだ。そこで、浮上した新たな問題は、半導体の基板に電子回路を穿った時に垂直方向に切り立つ側壁の表面で電気をスムーズに流し、エネルギーのロスを防ぐこと。服部准教授は科研費基礎研究(B)で、欠陥として側壁の表面に生じる凹凸を原子のサイズで平坦化する加工法の開発に挑んでいる。面については、薬液でエッチングする平坦化の仕上げの段階で、欠陥を作る可能性がある部位に選択的に反応して欠陥の形成を防ぐ分子を使うなどして、これまでできなかった側壁表面の平坦化処理を実現していきたい」と服部准教授は話す。電子で化学反応を起こすまた、挑戦的研究(萌芽)では、「半導体に電圧をかけて発生する電子で化学反応を制御する」というテーマを掲げ、夢の触媒反応デバイスをつくる全く新しい発想の研究を手掛けている。コンピュータの集積回路に使われているMOS(金属・酸化膜・半導体)スイッチングトランジスタは、素子の内部で電子の流れをゲート電圧で調節している。この電子素子を化学反応という全く異なるフィールドに持ち込もうとしている。ナノサイズの金属層、酸化膜層をもつMOS素子にゲート電圧をかけると、エネルギーの高い電子を効率よく金属層にぶつけることができる。ぶつけた電子の励起エネルギーを利用することで、吸着分子間の化学反応、酸化反応や還元反応を起こそうというのだ。「実験では、吸着分子がMOSの電子を受け取り、脱離反応するところまで確かめています。電子励起エネルギーは熱エネルギーと比べて桁違いに大きいので、電子エネルギーを与えれば、今まで触媒を用いても熱反応では活性できなかった新たな化学反応経路を導けるわけで、これまで合成できなかった物質ができる可能性があります」と服部准教授。多様性は重要「基本的に基礎研究の立場ですが、まず世の中のさまざまな不思議な現象を見極める目をもつことです。それをベースに面白いアイデアを構築し広げていく。私はタネを撒く人で、科学のダイバーシティ(多様性)は重要と思っています」と話す。垂直な表面の観察に成功半導体素子の加工は、リソグラフィーという技術を使う。まず、シリコンの基板の表面にレジストという保護剤を塗布し、光を照射して電子回路のパターンを焼き付ける。そのあと、感光したレジスト上の回路パターンの部分だけが残る形で、ガスや薬液により腐食させるエッチング処理を行う。服部准教授らは、側壁表面に並ぶ原子の様子についS E NTAN14