ブックタイトルSENTAN せんたん MAY 2021 vol.30

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概要

SENTAN せんたん MAY 2021 vol.30

知の扉を開く検査の性能を高め、科学の進展を支える物質創成科学領域感覚機能素子科学研究室北村圭司客員教授高精細な画像を実現叶井正樹客員教授古宮哲夫客員准教授微小な基板の上に試料を分析する手順に沿った仕掛けを集積し、化学反応や生化学反応のデータを一気に取得するマイクロ・タス(μTAS)という装置はナノテクノロジーの進化の産物だ。また、医療の画像診断や、新素材の非破壊検査には不可欠な放射線によるイメージング(画像化)の検査技術は、性能が格段に向上し、活用の分野は広がっている。こうした科学の最先端を進展させる検査技術の研究に取り組んでいるのが、物質創成科学領域の感覚機能素子科学研究室。医療、環境、エネルギー、素材など幅広い分野で分析計測技術・装置を開発する島津製作所基盤技術研究所(京都府相楽郡精華町)との連携研究室として、約20年前に研究所内に設けられた。イメージングの技術を研究してきた北村客員教授の現在のテーマは、X線により、試料の内部の様子をきめ細かにとらえて画像化する技術の開発だ。X線は光だが、屈折率は1万分の1程度と極端に小さく、ほとんど散乱しないため、従来のレントゲン装置では吸収の度合いに基づいて画像化し、柔らかい組織は見えなかった。そこで、北村客員教授らは、X線のわずかな曲がりを検出する「タルボ・ロー干渉法」に着目した。これは試料に照射され、透過したX線が波の性質により、微細なスリットが平行して入った格子(回折格子)を通ったあとに回折し、強め合って生じる干渉縞という縞模様の固有のパターンに基づいて解析する手法。北村客員教授のグループは、新たに格子を横に移動させたり、回転させたりして、さまざまに変化する縞模様のデータを解析する方法を開発し、複合材料中の炭素繊維配向などを高精細に画像化することに成功した。?X線位相イメージング装置07 S E NTAN