ブックタイトルSENTAN せんたん SEP 2021 vol.30
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SENTAN せんたん SEP 2021 vol.30
▲微生物感染から根を守る根冠機能の解明を目指した研究像化(イメージング)できる。この装置でグルコシノレートの生成に関わる酵素間の距離や配置を追跡して測定すれば、酵素複合体メタボロンがどのように形成されていくかわかる。宮島助教は「この装置を使い、カビが感染しているときだけ、根冠に防御のためのグルコシノレートをつくり出すメタボロンが形成されていることを証明し、その分子制御機構に迫っていきたい」と期待する。植物の根の周囲には、悪玉、善玉双方の微生物がまとわりついてある種の共存関係を構築するが「他の研究でグルコシノレートなどの防御二次代謝産物が善玉の暴走を防ぐために機能することがわかっており、メタボロン構築の構築を介してさまざまな微生物の働きを調節して微生物コミュニティを維持しているのかもしれません」と指摘。「広い視野で考えて、根冠という特殊な組織の発達に伴い、防御機構も共進化してきたのなら、非常に興味深いです」と強調した。ひらめいたアイデアを直ちに実現することで互いに研究が発展できるのは本学の大きなメリットです」。本学バイオサイエンス領域の峠隆之准教授とも二次代謝物の測定研究を行っている。これまでの研究者としての道筋では、常に先輩の助言を大切にしてきた。九州大学理学部の学生時代は動物細胞志望だったが、射場厚・九大教授の「植物は分かっていないことが多いから面白い」の一言で植物専攻に変えた。その後、本学に入学し、バイオサイエンス研究科(当時)の橋本隆教授から「何でもやってみたら得るものがある」と声をかけられ、いまも新たな研究に取り組むときの支えになっている。「対面で話すことで言葉の重みが伝わる。オンラインのウェビナーは苦手です」。家庭でもふれあいを心がけ、長男が所属する地元少年サッカーチームのコーチを務めるとともに、日本サッカー協会の4級審判員の資格を取得している。研究者の交流からひらめきを得る宮島助教は、根冠の組織の分化の仕組みなど発生学の面から研究を続けてきた。最近では、中島敬二教授、JSPSの海外特別研究員時代に在籍したヘルシンキ大学(フィンランド)とともに、植物の根や幹が横に太る「側方成長」を活性化するための遺伝子群を世界で初めて発見し、成果は英科学誌「ネイチャー」に掲載された。今回の研究は、根冠の機能面の研究だが、きっかけは本学の助教だった晝間(ひるま)敬・現東京大学准教授との歓談だった。晝間氏が研究している糸状菌を実験材料として導入することとし、試したところ狙い通り。独自の視点から植物の病害抵抗反応を解読する新たな研究の立案に繋がった。「晝間先生とは、現在も交流があり、共同研究を続けています。どの研究室のメンバーともフランクに話し合え、S E NTAN12