ブックタイトルSENTAN せんたん SEP 2018 vol.27

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概要

SENTAN せんたん SEP 2018 vol.27

知の扉を開く光で自在に化学反応を操り、有用な物質を組み立てる物質創成科学領域反応制御科学研究室教授紹介垣内喜代三教授森本積准教授交互に並んだまま移動し、光はそれぞれの層の通り方の違いから油の層内で反射を繰り返して、一部の光がチューブ内に留まるという現象が生じることを発見(図1)。その原理を装置の仕組みに取り入れたところ、チューブの出口までの間、まんべんなく光が当たり続けて反応が飛躍的に効率よく進むことがわかった。「油と水を交互に流してみたら、この装置だからこそできる有力な手法が見つかりました。連続的に流すことで収量も確保できるでしょう」と森本准教授は説明する。図1谷本裕樹助教反応の方向を導く油と水を交互に流す医療や産業に役立つ有機物質の創成の手法を確立したり、ポイントになる化学反応を巧妙に制御して精密な分子合成を実現したり。有機化学合成を効率的に行って、幅広い分野に応用できる道を拓くための基盤の研究に挑んでいるのが、反応制御科学研究室だ。研究室の大きなテーマの一つが、光のエネルギーを使って有機合成する「有機光化学」という分野。その成果の一つが、新たな仕組みの「フローマイクロリアクター」の開発だ。細長く透明なテフロン製のチューブ(直径約1ミリ)内に、反応させる物質を入れた有機溶液(油性)と、水を交互に流し、そのチューブに光を照射する。この際、油と水は分離するので、チューブ内に油の層と水の層がまた、有機化合物の複雑な合成の途中の段階で、キーになる分子を改変して、簡便に目的の物質に仕立てる方法の研究も重要なテーマだ。森本准教授は、有機化合物を特徴づける原子団である「官能基」を効率的に付け替える反応に成功した。これまで有毒な一酸化炭素(CO)の代わりに、ホルムアルデヒド(CH?O)と金属触媒を使い、カルボニル基(-C=O)という官能基を持つ医薬品など有機化合物を安全に合成する方法を実現。その成果をもとに、今度は、カルボニル基を新たに作るのではなく、別の物質がすでに持っている官能基を光照射によって切り取り、金属触媒で目的の有機化合物に移動させるという画期的な手法に発展させた(図2)。例えば、薄膜太陽電池の材料である物質(アントラセンジケト0 9 S E NTAN