イベント報告 2008/07/31
7月18日(金)、本学情報科学研究科L1講義室において、カーネギーメロン大学の金出武雄教授による研究指導FD講演会を開催しました。
情報科学研究科では「大学院教育改革支援プログラム」採択事業の一つとして昨年度から研究指導に関するFD (Faculty Development) 活動を開始しています。研究指導FD講演会はその一環として、学生の研究に対する興味を育む経験を積んでこられた先生をお招きして講演いただき、教員の研究指導能力向上に役立てるというものです。
今回の講師である金出武雄先生は、米国のカーネギーメロン大学においてU.A. and Helen Whitaker記念全学教授・生活の質工学センターのセンター長であり、かつ日本では産業技術総合研究所のデジタルヒューマン研究センターのセンター長、および本学デジタルヒューマン学講座客員教授でもあります。ご専門はコンピュータビジョン、ロボティクス等で、これらの分野においてFranklin-Bower賞、大川賞、C&C賞、IEEE Robotics & Automation Societyパイオニア賞、Joseph Engelberger Prizeをはじめ国際的に権威ある学術賞を多数、受賞されています。
今回の講演は「私はこうして50人のドクターを育てた!」という題目で、アメリカの大学における指導教授とドクターコース学生との関係について実情を踏まえながら、ご自身の大学院指導経験談を分かりやすくユーモラスに話して下さいました。
まず、アメリカでは指導教授とドクターコースの学生との関係が、教え-教えられる、雇う-雇われる、先輩-後輩的友達という3つの関係の混在した状況にあり、そのそれぞれにおいて日本よりある意味で緊張状態が強いという特徴を述べられました。学生の受け入れや除籍の決定の大きな部分が指導教授の権限であり、学生の授業料および生活費用を教授が研究費で負担する等、厳しい状況におかれているためだそうです。次に研究の話に移り、「良い研究とは?」「研究テーマ」「人を納得させるためには」「プレゼン」「学生との接し方」等などにおいて、先生の経験談を様々な「金出語録」を挙げつつ、話を進められました。
教員はもちろんのこと学生も多数が聴講しました。非常に興味深く、かつ参考になる話が多く、二時間近くの講演になりましたが、時間のたつのも忘れて聞き入り、研究指導FDにふわさしい講演になりました。質疑応答の時間には、教員や学生から、時間の都合上やむを得ず打ち切るほど多くの質問がありました。