「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~「鏡の国のアリス」が見た分子の左右と環境に優しいステレオ化学」を開催(8/23)

イベント報告 2008/08/23

 8月23日(土)物質創成科学研究科において、体験プログラム:「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へKAKENHI:「鏡の国のアリス」が見た分子の左右と環境に優しいステレオ化学」を開催いたしました。本イベントは、奈良県教育委員会・生駒市教育委員会の後援のもと、日本学術振興会との共催で行われました。本プログラムは、日本の将来を担う小学生5・6年生、中学生、高校生の皆さんに大学を訪問してもらい、科学とはどんなものか、研究はどのようにして行われているかを知ってもらうために行われているものです。大学では科学研究費補助金(KAKENHI)を研究費として活発に研究を行っており、国内だけでなく世界に通じる多くの研究成果を挙げています。この企画は、日夜研究に励んでいる本学教員・大学院生・研究者たちと触れ合い、最先端の研究成果の一端を知ることができる絶好の機会です。
 当日は、科学研究費補助金のしくみとこの体験プログラムの目的について説明を行い、小学5・6年、中1年と中学2年・高校生の二班に分かれたのちに、「左右分子のサイエンス」と「立体規則性高分子のサイエンス」に関する講義と体験プログラムをそれぞれ実施いたしました。

[左右分子のサイエンス]
 地球上に存在するすべての生命体は、左右ある分子の内、(左手の)アミノ酸、(右手の)糖からできています。その片手構造のアミノ酸からタンパクが、糖からDNAができています。私たちのからだは、分子の左右を正確に見分けながら生きています。今では、分子の左右を自在に作り分けることができるようになりました。立体化学という分子の世界を、約10種類ほどの左右のにおい分子を使って実体験しました。液晶ディスプレイから発する光は、直線偏光、円偏光を組み合せて、光の映り込みを減らしています。これをプラスチックでできた直線偏光フィルム、円偏光フィルムで体験しました。回折格子と呼ばれるプラスチックフィルムを使ってレーザー光の干渉実験を体験しました。

[立体規則性高分子のサイエンス]
 身の回りのプラスチック、ポリマー鎖の立体規則性と性質、科学研究費補助金の研究の目的と成果について概説しました。耐熱性に優れたらせんプラスチックの合成とその性質(触媒によるスチレンの立体特異性重合とその特性)や用途を説明しました。当研究グループで見つけた高性能触媒を用いて、らせん構造を有するポリスチレン(耐熱性に優れたプラスチック)を実際に合成し、別の方法で合成したらせんではないポリスチレンとの熱物性を比較しました。世の中で使用されている実例を紹介し、現在取り組んでいる研究の目的・意義と研究成果を概説しました。実際に合成している研究設備も見学しました。

 また、物質創成科学研究科棟の屋上に設置してある一般家庭20件分の発電量を誇る太陽電池パネルならびに研究科棟1階にあるクリーンルームの施設見学会を実施しました。最後に、垣内研究科長より、参加した子供たち全員に、安田学長名の「未来博士号」を授与いたしました。
 参加した子どもたちからは、本体験プログラムを通じて、液体窒素や種々の化学薬品に触れる機会を得ることで科学に親しみを覚え、将来、科学者になりたい、鏡の世界のミルクを飲んでみたい、科学の楽しみや考えがわかった、科学に興味がわいてきた、将来の進路が決定したなど、多いに刺激を受けた様子でした。今回実施した大学での体験プログラムや実験室・研究室の雰囲気を通じて、これから大学で学びたいと思っている皆さんに、人生選択のきっかけになればと思います。そして将来、日本の科学技術を担う人材に育ってほしいと願っています。

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