イベント報告 2008/10/25
10月25日(土)情報科学研究科において、体験プログラム:「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~KAKENHI:コンピュータはどうやって学習する? ~振れ止めに上達する制御~」を開催いたしました。本イベントは、奈良県教育委員会の後援のもと、日本学術振興会との共催で行われました。このプログラムは、日本の将来を担う小学校5・6年生、中学生、高校生の皆さんに大学を訪問してもらい、科学とはどんなものか、研究はどのようにして行われているかを知ってもらうために全国で行われているものです。大学では科学研究費補助金(KAKENHI)を研究費として活発に研究を行っており、国内だけでなく世界に通じる多くの研究成果を挙げています。この企画は、日夜研究に励んでいる本学教員・大学院生・研究者たちと触れ合い、最先端の研究成果の一端を知ることができる絶好の機会です。
当日は、科学研究費補助金のしくみとこの体験プログラムの目的について説明を行ったのちに、以下のような順序で講義や実演・実習を行いました。
[振れ止めを実現するフィードバック制御入門]
機械を動かすときにはさまざまな振れ(振動)が発生し、それを上手に止めることが必要となります。あらかじめ振れ方が分かっているわけではないので、その動きをセンサーで計りながらコンピュータで計算し、モーターを動かすという「フィードバック制御」の方法が用いられています。まずは当研究室にある振り子型実験装置などを用いて、フィードバック制御による振り子の逆立ちや、骨組みの振動をセンサーで計るといった研究の最前線を大学院生が実演してくれました。その上で、振れ止めの原理を分かりやすく講義し、高校で学ぶ数学や物理が研究に活用されていることを知ってもらいました。
[シミュレーションと実験による振れ止め実習]
午後からは参加者一人ひとりがノートPCを使って、コンピュータが振れ止めを実現するためのフィードバック制御を体験しました。ノートPCに入れてあるシミューションのプログラムを利用して、どのような数値にすれば上手に振れ止めができるかを試した上で、各自が「これだ!」と思う数値を選び、実際に研究室にある振れ止め装置で実験をしました。装置の操作は大学院生が行いましたが、参加者も自分が選んだ数値によって振り子の振動が見事に止まる様子を目の前で実感することができました。
[確率をもとにした学習とロボットアームの学習制御]
実習したように、振れ止めを実現するには人間(設計者)が良い数値を選ぶ必要があるのですが、これをコンピュータが自動的に見つけようという研究が進んでいます。実習後は少し視点を変え、ノイズと混ざった画像が復元される様子やロボットアームが一筆書きに上達する様子を見ながら現在、進められている研究を学びました。最後に、安田学長名で参加した子供たち全員に「未来博士号」を授与いたしました。
参加した生徒たちからは、自分でコンピュータを使って数値を選び機械を動かせたことが楽しかった、シミュレーションと実際の結果が同じとは限らないことが分かった、高校で習ったことが基本になっていると実感できた、などの感想が寄せられ、最先端の研究成果に触れたことで将来を展望する一助となったようでした。