研究成果 2009/09/29
植物は、日照時間や温度などの環境の変化にかかわる情報を感知し、それぞれの性質に適した季節に、花を咲かせる機構を持っています。この花の咲く時期によって米がいつ実り、収穫できるかが決まります。奈良先端科学技術大学院大学(学長:磯貝彰)バイオサイエンス研究科の島本功教授と小宮怜奈GCOE研究員らは、日本、中国、韓国など北東アジアで行われている稲作において、イネの開花時期を決定する花成ホルモンと、その働きを制御し環境に適応する仕組みを世界で初めて明らかにしました。
この花成ホルモンを作る遺伝子(RFT1)はすでにイネの花成ホルモン(フロリゲン)の遺伝子として報告されているHd3aと、DNAの塩基の配列が非常によく似た双子の遺伝子であり、イネの開花を制御する重要な遺伝子であるであることを島本教授らはこれまでに解明してきました。
今回の研究では、イネは、Hd3aを日長が短くなっていくに伴い開花時期が訪れる短日のフロリゲンとして、一方、RFT1を逆の長日のフロリゲンとして利用し、日の長さに応じてふたつのフロリゲンを使い分けて花を咲かせていることを明らかにしました。
さらに、RFT1フロリゲンを作るために必要な因子や抑制する因子を解明しました。その背景は、日本の稲作が、イネ本来の短日条件での開花ではなく、長日条件における開花が基礎となっていることにあります。これまでに、短日条件におけるイネの花が咲く機構は世界中でよく研究されてきましたが、日本の稲作が行われる長日の環境下で、イネの開花を促進する機構はこれまで明らかとなっていませんでした。
■プレスリリースの詳細は以下のページをご覧ください。
日本や中国、韓国などアジアの稲作環境ではたらくイネ第二の花咲かホルモンを世界で初めて発見 イネは栽培環境に合わせて、花咲かホルモン使い分けの仕組みを持っていた ~収穫時期の改良や増産に期待~