イベント報告 2009/12/11
奈良先端大・奈良女子大合同シンポジウム「科学技術分野における男女共同参画を一層推進するために」が、11月28日(土)に奈良女子大学講堂で行なわれました。このシンポジウムは、上記の2大学だけでなく、奈良県及びけいはんな学研都市地域の研究機関の参加も仰ぎ、男女共同参画社会実現に向けて開催されたものです(参加者数 約280名)。主催者挨拶の中で、本学の磯貝彰学長は、女性の力を活用していくための環境整備の必要性を強調しました。続いて、文部科学省生涯学習政策局の板東久美子局長が、「科学技術分野の男女共同参画の推進 ~女性活躍支援とワークライフバランス~」と題して講演しました。人権や多様性の観点からみた男女共同参画の重要性、日本における女性の社会進出の現状と課題、女性研究者が少ない理由、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)推進のための取り組みなどについて、最新のデータ・統計をもとに解説しました。多様な人材が育ち、活躍できる環境づくりへの努力を呼びかけました。
引き続き、パネルディスカッションが行われ、前半は、女性研究者支援モデル育成事業(科学技術振興調整費)の平成18年度採択機関である奈良女子大学(「生涯にわたる女性研究者共助システムの構築」)と平成21年度採択機関である本学(「先端科学技術を担う女性研究者の育成」)の取り組みについての発表がありました。奈良女子大学の富﨑松代教授(女性研究者共助支援事業本部統括責任者)は、システム改革と意識改革の3年間の成果について報告し、本学の布下正宏教授(男女共同参画室コーディネーター)は、これまでの経過と今後の計画・抱負、及び地域連携と優れた女性研究者を育成することの重要性を訴えました。次に、奈良県くらし創造部男女共同参画課長の加藤雅子氏が、奈良県の男女共同参画推進に向けた取り組み(奈良男女GENKIプラン、奈良県の女性の社会参画に関するデータ、男性の家事フォトコンテスト、奈良サイエンスカレッジなど)を紹介しました。その後、パナソニック(株)先端技術研究所参事の脇田由実氏が、企業での研究開発における多様な人材の必要性について、ご自身の経験を交えて説明しました。最後に、コメンテーターとして塩満典子氏(科学技術振興機構 科学技術振興調整費業務室長)が、科学技術振興調整費による女性研究者支援の意義を説明しました。その後、男女共同参画への取り組みの中で大変だったことや楽しかったことについて、4名のパネリストに質問をするとともに、それぞれにコメントを付して、パネルディスカッションを締めくくりました。
閉会挨拶では、奈良女子大学の野口誠之学長が、"女性が、自分が女性であることを意識せずに社会に出て行ける、そして男性がそれを当たり前に思う"社会を築いていくことを提言しました。
そのためには、女性であるがゆえに制限されていることを払拭していく必要がある、と述べました。当日は聴衆との間で質疑が行われるなど、シンポジウムは盛会のうちに幕を閉じました。