受賞 2011/04/11
バイオサイエンス研究科の島本功教授、横田明穂教授、物質創成科学研究科の河口仁司教授が、平成23年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「科学技術賞」を 受賞しました。「科学技術賞」は、文部科学省が、我が国の科学技術の発展等に寄与する可能性の高い独創的な研究又は開発を行い顕著な功績を挙げた者につい て、その功績を讃えるために贈られるものです。
(写真:上から、島本教授、横田教授、河口教授)
受賞者
島本 功(61歳)
現職 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 教授
研究テーマ
「イネの開花制御とフロリゲンの研究」
業績
開 花制御に必要な遺伝子の働きをイネを用いて解析し、短日植物と長日植物の開花は共通の遺伝子によって制御されているが、その機構が異なっていることを示し た。さらに、イネのHd3a遺伝子とGFPとの融合遺伝子を導入したイネを解析し、Hd3aタンパク質は葉で合成され、葉から茎の先端に移行する、花成ホ ルモン(フロリゲン)であることを証明した。この発見により70年以上その正体が謎であったフロリゲンの実体が明らかになった。
受賞についてのコメント
本 学に赴任して以来取り組んできた、植物の開花制御および花成ホルモン(フロリゲン)の研究が今回評価され、文部科学大臣表彰「科学技術賞」を受賞できたこ とは大きな喜びです。この研究にこれまで関わった多くの研究者と学生の皆さんの努力のおかげだと感謝しています。また本学の充実した研究支援体制が大きな 助けになりました。今後さらに新しい発見を目指して、花の研究を広範囲に展開してゆきたいと思います。
受賞者
横田 明穂(62歳)
現職 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 教授
研究テーマ
「植物生産力強化遺伝子の探索とその応用の研究」
業績
作 物を含めて植物の生産力には、葉の光合成能力や根や穂での光合成産物の貯蔵能力などに多くの能力不足段階があることが、分かりつつある。本研究では、これ らの能力不足段階の強化に資する複数遺伝子を野生種スイカなどに見出した。ジャガイモにこれらの遺伝子を導入し、生産機能を評価した結果、葉の光合成が 25~35%増強され、イモ重量は2~3.5倍に上昇した。本成果は、植物を利用した低炭素化社会構築に寄与すると期待される。
受賞についてのコメント
大 学院博士課程から始め、この37年間取り組んできた光合成研究の内、この後半20年ほどの研究業績に対しての受賞です。とくに、これまで発見してきたルビ スコや光合成機能、野生種スイカ遺伝子に関わる興味ある発見は国際的に高く評価され、重要な国際特許にもなっています。これらの成果は、山田康之先生はじ め、これまで一緒に研究して下さった方々や学生との共同研究の結果です。ここに熱くお礼申し上げます。
受賞者
河口 仁司(61歳)
現職 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 物質創成科学研究科 教授
研究テーマ
「双安定半導体レーザと光RAMの先駆的研究」
業績
光 信号のままルーティング処理を行うオールオプティカルネットワークの実現が期待されている。ルータには光信号の衝突防止のためのメモリ機能が不可欠であ る。発振モードが2つ存在する半導体レーザでは普遍的に光双安定が生じ、その間で高速スイッチングが可能なことを見い出した。光導波路の断面が正方形の面 発光半導体レーザは、これを実現できる理想的な素子であることを示し、世界に先駆けて光メモリ動作を実現した。
受賞についてのコメント
光 双安定に出会ったのは36年前、光通信用半導体レーザの研究を行っていた時のことです。電電公社(現NTT)、山形大学、奈良先端大と所属は変わりました が、他の研究も進めながら研究を続けてきました。幸いにも「さきがけ」や「CREST」などの研究助成をいただき、光RAMの基本機能実証をすることがで きました。推薦いただいた奈良先端大の関係各位、研究に協力いただいた多くの方々に感謝申し上げます。