研究成果 2011/10/26
我が国の超高齢社会において、介護職従事者の不足が問題となる中、高齢者あるいは身体障害者のクオリティ・オブ・ライフ(QoL、生活の質)の向上にロボットを活用することが期待されています。
本 学情報科学研究科 数理情報学研究室の柴田智広准教授と知能システム制御研究室の松原崇充助教のグループは、着衣を介護するロボットの開発に成功しました。衣服の着脱動作は 日常における必須の生活動作ですが、高齢者や片麻痺患者にとっては、上肢の可動域や運動能力が制限されるので容易ではありません。さらに、ロボットによる 着衣支援の場合は、柔軟な物体である衣服を、複雑な形状や摩擦を持ち姿勢も絶えず変動する被介護者と接触しながら移動させるため、最適な動作を予め計算す ることが困難である、という技術的課題がありました。
そこで柴田准教授らのグループは、まず着衣介護の動作を人間が実際にやって見せ、次 いでロボットがその動作をもとにした強化学習と呼ばれる試行錯誤的な探索を行うことにより、被介護者に適した動作をできるだけ少ない試行回数で獲得するこ とができる双腕ロボットシステムを開発しました。
この研究成果の詳細は、2011年10月26日からスロベニアで開催されるヒューマノイ ド(人型ロボット)研究に関する最も重要な国際会議である、11th IEEE-RAS International Conference on Humanoid Robotsで発表されます。