イベント報告 2013/07/01
6月25日(火)、事務局棟2階大会議室において学位記授与式を挙行しました。
小笠原直毅学長から、出席した2名の修了生一人ひとりに学位記を手渡し、門出を祝して、式辞を述べました。
式終了後には記念撮影も行われ、修了生たちは和やかな雰囲気のもと、学長、理事をはじめ指導教員等を交えて歓談し、喜びを分かち合いました。
※ 今回の修了生の内訳は、以下のとおりです。
【博士後期課程修了者】
バイオサイエンス研究科 3名
物質創成科学研究科 1名
計 4名
総計 4名
【小笠原学長式辞】
学 位取得おめでとうございます。これで正式に免許皆伝です。これから、新しい気持ちで研究に取り組んでください。また、代わって学位記を受け取られたご両 親、おめでとうございます。同時に、本学学生としての学生生活をご支援いただいたことを、本学を代表して感謝いたします。
さて、一人は、 新規アセチル化酵素の結晶化、構造解析に挑戦し、粘り強い努力により成功したことによって、また、もう一人は、後期課程で新たな課題に挑戦し、画期的なド ラッグデリバリーシステム、PDT薬剤の開発につながる重要な成果によって学位を取得されました。お二人の業績を見ていて気がついたのですが、奇しくもお 二人は、多様な経験を持っているという共通点があります。一人は、薬学部を卒業後、社会人を経て本学に入学し、バイオサイエンスという新しい分野に挑戦 し、学位を取得されました。一方、もう一人は物質創成科学研究科が新たに設けた2つの専門分野の知識を身につけるπコースの1期生で、前期課程では分子生 物学、生物物理学を学び、蛋白質の設計原理の理解につながる研究成果を上げました。そして、後期課程では、有機合成を身につけ、細胞を用いた実験により学 位を取得されました。
最近、私はよく言っているのですが、社会そして科学技術は大きく変わりつつあります。世界がインターネットでリアル タイムにつながり、そして、振興諸国の経済発展は目覚ましいものがあります。その中で、我が国の企業は今までのビジネスモデルで生き残れるのかということ が問題になっています。より大きくは、エネルギー、資源、食料等の限界と社会の持続的発展ということを考えたとき、便利さ・豊かさを求める、今までの先進 国の経済発展モデルが通用するのかという問題が提起されています。科学技術の世界も急速に変化しつつあります。お二人の研究分野であるバイオサイエンスを 考えると、シーケンサーや質量分析計等の分析機器の急速な革新により、ビッグデータバイオロジーという言葉に象徴されるように、膨大なデータの統計学的解 析が実験生物学を先導するようになるパラダイムシフトが起こりつつあるようにも感じます。これからの科学技術者研究者は、自分の専門に閉じこもることな く、社会の変化・科学技術の変化に常に目を配り、異分野の研究者とも連携して、新しい未踏の分野を開拓していくことが重要と思います。実際、そうした博士 人材を求める声が、我が国の様々なところから聞こえてきています。こうした要請に応えていくために、お二人の幅広い経験は貴重な資産だと思います。将来の 我が国の新たな科学技術を担う研究者として、大きく成長していくこと期待しています。頑張ってください。