お知らせ 2016/05/10
奈良先端科学技術大学院大学では、承認を得た学内実験室のみに場所を限定し、植物を用いた遺伝子組換え実験を行っていますが、この度、キャンパス内植物温室周辺の一部区域に遺伝子組換え植物(シロイヌナズナ:アブラナ科シロイヌナズナ属の1年草。3月下旬~5月上旬に花を咲かせ、結実する。食用ではなく、食用のナズナとは別属。)が生育していたことが判明いたしました。
組換え体の漏出が確認された後、さらなる組換え体の拡散を防ぐために温室周辺に生育していたシロイヌナズナと生育土壌を回収するとともに、拡散範囲を調査するため、学内全域に加えて、大学周辺の公道について、シロイヌナズナの生育調査・採取と解析を実施しました。その結果、遺伝子組換え植物の拡散の範囲は植物温室周辺20m以内に限定されており、学外から採取したシロイヌナズナは遺伝子組換え実験に用いられている系統とは異なる、生駒市に自生する系統であることが判明しました。現在、組換え体漏出の原因を特定するために、漏出した組換え体について、その作製時期・実験場所等の特定を鋭意進めているところです。
遺伝子組換えシロイヌナズナの漏出が確認された箇所が植物温室周辺に限られていたこと、また、本学で用いられている遺伝子組換えシロイヌナズナは植物遺伝子の機能を調べることを目的に作製されたものであり、環境や人体に影響を与える遺伝子は使用していないことを考慮すると、今回の事故による周辺環境への影響はないと考えておりますが、地域・社会の皆様にご心配をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。
現在、学外の専門家を含めた調査委員会を設置し、原因究明と今後の対策等について、調査・検討を進めているところであり、今後、以下のように、再発防止に万全を期してまいります。
- 漏出した個体は全て回収できたと考えていますが、今後も学内外の環境モニタリングを実施し、組換えシロイヌナズナの拡散がないことを確認していきます。
- 実験施設外で生育していた遺伝子組換えシロイヌナズナについて、その作製時期・実験場所等を特定し、漏出原因の特定を進めます。
- 漏出原因の調査結果を踏まえ、施設・設備の改善や入退出の手順の厳密化等により、組換え体の漏出防止策を強化します。
- 再発防止策の実施状況を定期的に点検していきます。
- 遺伝子組換えシロイヌナズナの漏出原因の解明状況、組換え体の漏出防止策、環境モニタリングの実施結果等について、公表します。
【本件に関する問い合わせ先】 奈良先端科学技術大学院大学 |