イベント報告 2017/12/26
12月22日(金)、事務局棟2階大会議室において学位記授与式を挙行しました。
授与式では、横矢直和学長から出席した4名の修了生一人ひとりに学位記を手渡され、門出を祝して、式辞を述べられました。
式終了後には記念撮影も行われ、修了生たちは和やかな雰囲気のもと、学長、理事をはじめ指導教員等を交えて歓談し、喜びを分かち合いました。
※ 今回の修了生の内訳は、以下のとおりです。
【博士後期課程修了者】
情報科学研究科 1名
バイオサイエンス研究科 3名
物質創成科学研究科 1名
計 5名
【論文提出による博士学位取得者】
博士(バイオサイエンス) 2名
総計 7名
【学長式辞】
本日、学位を授与された皆さん、おめでとうございます。今回は、皆さんを含めて7名が博士の学位を取得されました。うち、4名は留学生です。
皆さんのうち、多くは既に大学や研究所で研究者としての道を歩まれていると伺っていますが、これからは、学位を持つ、プロの研究者として、新しい社会人生活をスタートあるいは再スタートすることになります。
現在、科学技術は大変革の時代にあります。ここ数年の科学技術のキーワードは情報科学に関連するICT技術であるInternet of Things(IoT)、人工知能(AI)、データサイエンスです。これらの技術革新は、当然、社会にも大きな変化をもたらすことになります。
このようなICT技術の変革は、情報以外の科学技術分野への影響も無視できません。例えば、バイオサイエンス分野ではバイオインフォマティックス(Bio-Informatics)と呼ばれる研究領域が既に存在し、物質科学の分野でもマテリアルズインフォマティックス(Materials Informatics)という言葉が登場しています。
すなわち、あらゆるものがインターネットにつながり、「サイバー世界」と「リアル世界」が融合した「超スマート社会」に向けて、リアルタイムで収集・蓄積され、ネットワークを介して世界中からアクセス可能な大規模データの解析に基づく、データ駆動型サイエンスあるいはAI駆動型サイエンスと呼ぶべき新しい研究パラダイムが生まれているのです。
今日、学位を授与された皆さんは、情報科学、バイオサイエンス、物質創成科学という異なる領域において自身の研究を極められたわけで、これまで、奈良先端大で領域を超えて一緒に研究したことはないと思いますが、将来、同じチームで仕事をしているということになるかもしれません。
2040年代には、コンピュータの能力が人間の能力の総和を越え、シンギュラリティ(Singularity)に到達すると言われており、その頃には、今、存在している職業の半分以上がなくなり、新しい職業ができているだろうとの予測もあります。
2040年代というと、皆さんが社会の中核を担う時代です。皆さんは、広い視野を持つことによって科学技術の変革に柔軟に対応し、常に新しい分野を開拓し続けることのできる人材として、新しい科学技術の創造と活用に、主体的に取り組んでいくことによって、シンギュラリティを力強く乗り越えていっていただきたいと思います。
皆さんは、本学でそれぞれの分野において専門知識を習得したわけですが、それ以上に、修士論文研究・博士学位論文研究を通して身につけた、課題を発見し、その解決法を考え、実践し、その結果を評価し、様々な人と議論し、論文にまとめるという経験が大事な財産です。苦しいこともあったであろう経験、そして、本学で築いた様々な人的ネットワーク、すなわち、人と人の絆(Kizuna)が、皆さんの研究者としての将来を保証すると確信しています。
奈良先端大の役割は、皆さんを社会に送り出したことで終わるのではなく、変化して行く科学技術・社会の中で、皆さんが持続的にクリエイティブな生活を送ることができるように、修了生の方々との持続的な関係を構築して行くことも重要な役割であると教職員は考えています。
今年は、11月12日の日曜日にホームカミングデーを開催しましたが、今後も、このようなイベントを継続して実施したいと思っていますので、その時には、是非、帰ってきてください。また、海外のサテライトオフィス等を通して世界で活躍する修了生の方々とのネットワークも強化したいと考えていますので、皆さんにもこのような活動に積極的に参加して頂きたいと思います。
皆さん、本日はおめでとうございます。今後の益々の活躍を期待するとともに、今後も奈良先端大は、皆さんの活躍を支援していきたいと思います。
平成29年12月22日
奈良先端科学技術大学院大学長 横矢直和