研究成果 2020/07/22
奈良先端科学技術大学院大学(学長:横矢直和)総合情報基盤センター次世代システム研究グループの樫原茂客員准教授(大阪工業大学ネットワークデザイン学科准教授)、辻井高浩グループ長、高知市消防局、株式会社ファーストパーソンは、消防防災活動における無人航空機(ドローン)の利活用を促進すべく、消防隊員を対象としたオンラインでの実践的なドローン操縦者育成に取り組みます。今後発生が懸念される南海トラフ地震などの大規模災害に備え、ドローンの利活用は必要不可欠であり、ドローン操縦者育成は急務となります。
消防防災活動の現場では、ドローンを消防資機材の一つとした本格的な利活用が強く期待されています。樫原客員准教授らの研究チームは、これまで総務省消防庁の「消防防災科学技術研究推進制度」のもと、ドローンにスマートフォンなどが発する無線LANやBluetoothの電波を検知するセンサーを搭載し、カメラ映像の解析技術と合わせて、要救助者を見つけ出すシステム開発を行ってきました。
これらのシステムを含め、ドローンを実際の消防防災活動の中で実践的に活用するためには、システムの研究開発だけではなく、運用面に対する取り組みが不可欠です。現状では、各消防本部におけるドローンの操縦者育成に関する体制は確立されていません。また、各消防本部において取り組み方法を模索しているなど、操縦者育成に関しては黎明期以前の状態にあります。一方で、災害は人間の都合に合わせてはくれません。まずは、消防本部内でドローンを利用可能な隊員数を増やし、裾野を広げていくことが重要です。
今回、高知市の2消防署をモデルケースとして、オンラインでの操縦者育成プログラムの取り組みを開始し、7月22日を含めた3日間で、消防隊員約60人を対象に座学を中心としたプログラムを実施します。今後、実技訓練も含めたドローン操縦者育成プログラムにも取り組んでいきます。