イベント報告 2022/04/01
3月24日(木)、ミレニアムホールにおいて学位記授与式を行い、先端科学技術の将来を担う353名の修了者を送り出しました。
今回の授与式は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため規模を縮小し、 領域ごとに開催する3部制で行われました。
授与式では、塩﨑学長から修了生代表者に学位記が手渡され、式辞が述べられた後、来賓から祝辞が述べられました。続いて本学支援財団が優秀な学生を表彰する制度であるNAIST最優秀学生賞の受賞者14名に対して、同財団理事長代理として増田専務理事から賞状及び副賞が贈られました。最後には学生有志による音楽演奏が行われ、修了生の門出を祝しました。
当日は、式典の模様をインターネットによりリアルタイムで配信したほか、式典終了後の会場を開放し、多くの修了生が指導教員や在校生も交えて記念撮影を行っていました。
※ 今回の修了生の内訳は、以下のとおりです。
【博士前期課程修了者】
情報科学領域 128(3)名〈うち留学生16名〉
バイオサイエンス領域 95(0)名〈うち留学生 4名〉
物質創成科学領域 84(0)名〈うち留学生 2名〉
計 307名(うち短期修了3名、留学生22名)
【博士後期課程修了者】
情報科学領域 22(6)名〈うち留学生 11名〉
バイオサイエンス領域 11(0)名〈うち留学生 4名〉
物質創成科学領域 13(1)名〈うち留学生 3名〉
計 46名(うち短期修了7名、留学生18名)
総計 353名(うち短期修了10名、留学生40名)
【学長式辞】
初めに、このたび学位を授与された博士前期課程307名、博士後期課程46名の皆さんにお祝いを申し上げます。
本日の学位授与式がオンラインや録画によるものではなく、こうして皆さんにお会いできたことを嬉しく思います。特に、令和2年度に博士前期課程に入学された方々は、コロナ禍のために対面で入学式を行うことが叶わなかったため、この修了式はなんとかミレニアムホールに集まって開催できるようにと職員の方々が工夫し、お骨折りくださいました。
2019年の年末から始まった新型コロナウイルス感染症の世界的な流行は、いくつかの変異株の発生を伴いながら、拡大と縮小を繰り返しつつも未だ収束の見通しは立っていません。大学院で修士や博士の学位を取得するということは、もともとたやすいことではありませんが、未知の感染症の発生という困難な状況のもと、皆さん一人ひとりが懸命に努力を積み重ね、試練を乗り越えて学位取得の日をここに迎えられました。ご自身が成し遂げたことに、是非、誇りを持っていただきたいと思います。
そして、皆さんの努力に敬意を表すると同時に、これまで皆さんを助け、支えてくださった方々にも御礼を申し上げます。指導教員をはじめとする先生方、ご家族の皆様、そして友人の方々、加えて、本学が新型コロナウイルス感染症の発生を最小限にとどめながら、活発な教育研究活動を継続できたのは、今、このステージ上にいらっしゃる研究科長や領域長をはじめとする教員の方々、また昼夜・週末を問わず様々な形でサポートしてくださった事務局の職員のみなさん、そしてここにいる学生の皆さんを含む奈良先端大コミュニティー全体の努力の賜物です。本日この式場にはいらっしゃらない方々も含め、皆さんの大学院生活を様々な形で支援してくださった方々に、大きな拍手を送りましょう。
さて、皆さんは本日、大学院を修了されるわけですが、この機会に、いつ頃、どのように、大学院に進学することを決めたのか、振り返って思い出してみてはどうでしょうか。私自身は、小学生の頃、大学院に進学することを考えはじめたことを覚えています。
まだ、小学生だった私は父に尋ねました。「小学校を卒業したら、その次は?」
父は当然「次は中学校」と答えます。
「じゃあ、中学校を卒業したら?」
「その次は、高校」
私の質問はさらに続きます。
「じゃあ、高校を卒業したら?」
「大学」
面倒だと思ったのか、父の返事は短くなってきました。
「じゃあ、大学を卒業したら?」
「大学院」
「じゃあ、大学院を卒業したら?」
「もうない、終わり!」
こうして父は、私からの執拗な質問から解放されたわけですが、その時、私の方はといえば、一番最後の「大学院」というところまで行ってみようと考えていました。一番上の大学院まで行けば、なにもかも学び尽くせると思ったのかもしれません。
本日、大学院を修了される皆さんはどのように感じていますか?
決して「学び尽くした」とは思えないのではないでしょうか。私自身もそうでした。
皆さんをご指導くださった先生方も、何十年か前に大学院を修了され、それ以降、学校には通っていないと思いますが、最先端の知識を持ち、世界トップレベルの研究を行い、学生の皆さんの指導を行なっています。どうしてそれが可能なのか、想像してみてください。
本日、大学院を修了する皆さんに、是非、胸に刻んでいただきたいマハトマ・ガンジーの言葉をここで紹介させてください。
Live as if you were to die tomorrow.
Learn as if you were to live forever.
「明日死ぬかのように生きよ。永遠に生きるかのように学べ。」 学位を取得し、これから社会へと旅立つ皆さんは、新しいスタートに胸を躍らせていることと思います。しかしながら、何かを成し遂げるには、人生は決して長いとは言えません。今、自分が何をなすべきかを常に考え、そして決して学びを止めることなく、進化し続けて欲しいと思います。社会は、そして世界は、皆さんの活躍を期待しています。
そして近い将来、毎年秋に開催しているホームカミングデー等の場で、本学が誇る同窓生の一員となった皆さんに再会できる日を楽しみにしています。卒業しても皆さんは、奈良先端大コミュニティーの一員です。本学は1万人を超える修了生を輩出し、同窓会は修了生による世界的ネットワークの場となっています。皆さんも是非このネットワークに加わってください。
最後に改めて、修了生の皆さんに心からのお祝いを申し上げるとともに、卒業後も"Outgrow your limits"という奈良先端大スピリットで切り開く、輝かしい未来を祈念して、本日の祝辞の結びとさせていただきます。
令和4年3月24日
奈良先端科学技術大学院大学長塩﨑一裕
【同窓会会長祝辞】
奈良先端科学技術大学院大学を修了される皆さん、本日は大変おめでとうございます.ご両親、ご家族の皆様ならびに関係各位の皆様にも,心よりお祝い申し上げます。 これまでに,奈良先端大の修了生はのべ10,000名を数えます。多くの先輩方が国内外の大学、研究機関,大企業などで活躍しており、奈良先端大のブランドを不動のものにしています。
皆さんが社会で活躍することで、その価値をさらに高めていってくださることを期待しています。 奈良先端科学技術大学院大学 同窓会では、修了生や在学生を支援する様々な事業を展開しています、皆さんが社会に出た後に、本学で学んだことに誇りを感じたり、本学との繋がりを実感したりする機会が多々あることと思います。
また、そうした有り難みは年を経るごとに強まっていくことでしょう。ぜひ本学同窓会に御入会いただき,その繋がりを最大限に活用していただければと思います。 私自身は,1998年に博士後期課程を修了した本学の2期生です。私が入学した当時は、まだ修了生もほとんどおらず、本学の知名度は現在とは比較にならないものでした。奈良先端大の魅力は知名度があることでもなく、歴史があることでもありません。世界で活躍する先生方と、熱い志をもった学生が結集して、新しいことにチャレンジする気概に溢れていることが、最大の魅力だと思います。そして、その思いは20年以上経った今、ますます強まっています。
皆さんは、過去2年間常にコロナ禍の影響を受けてきました。思うように研究が進まず不安になったり、友人たちと触れ合うことができず寂しい思いをされたりしたことでしょう。大学に来ることもできず、授業も受けられず、本当に大変な状況でした。
しかし、皆さん自身の努力と周囲の支援で,本日の修了を迎えられました。関係者の方々に感謝しつつ,ぜひこの困難を乗り越えたことを誇りに思い,将来への力に変えてください。 コロナ禍は図らずもこれまでに蓄積された社会の歪みや弱さをあぶりだしました.SDGsに沿った社会変革は待ったなしの状況ですが,これまでの常識が通用せず,誰にも正解が分からない時代です。さらには、最近の国際情勢は平凡で平和な日常生活がいかに脆く、貴重なものであったのかを改めて思い起こさせています。
皆さんには、このような激動の時代に積極的に立ち向かい、社会に貢献してほしいと思います。当事者意識を持ち,変化を恐れず、平和で豊かな世界を作るために自分に何ができるのかを真剣に考え,提案し、実行していってください。 慣れ親しんだ大学や高専などを飛び出して、新しいことにチャレンジしようという思いで奈良先端大の門をくぐり、最先端の研究成果を生み出してきた皆さんは、そうした時代の要請にふさわしい資質と心構えを備えています。社会に巣立つ皆さんひとりひとりの活躍が、人類の未来を変えていきます。
ぜひ、それぞれの立場で奈良先端大で学んだことを発揮し、新しい時代を切り拓き、力強く引っ張っていってください、大活躍されることを祈念しています。 最後になりましたが、改めまして、本日は修了おめでとうございます。
令和4年3月24日
奈良先端科学技術大学院大学同窓会会長
清川 清
【支援財団理事長祝辞】
奈良先端科学技術大学院大学の令和三年度学位記授与式にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
本日、学位記を受けられました皆様、コロナという未知の試練に翻弄されながらも、博士課程を見事、修了されましたこと本当におめでとうございます。
また、ご家族の皆様や塩﨑学長をはじめご指導に当たられた教職員の皆様にも、心よりお祝いを申し上げます。
日本は革新的な製品やサービスを生み出せず、長らく停滞の時を過ごしてきました。
過去の成功体験から抜け出せず、変化を恐れ、従来のやり方に捉われ続けたことがその原因と言っても良いでしょう。変化を生み出すには、常識に捉われず、現状に少しでもおかしな点、不合理な点はないか気づく必要があります。
私たち支援財団のシンボルでもあるアインシュタインは、「大切なのは、疑問を持ち続けることだ。神聖な好奇心を失ってはならない。」という言葉を残しました。
今まで当たり前だと思っていたことも、好奇心を持って見つめれば何かしら発見があり、疑問が浮かんでくるものです。
変えることを恐れず、疑問の芽をさらに追求していくことが、新しい理論や技術に結びつくものと思います。現代社会は、複雑かつ多様で困難な問題があふれておりますが、皆様がこの大学で蓄積してこられた最先端の知識や創造力、研究力は、世界でも十分に通用するものと思います。
社会に出られても「神聖な好奇心」を忘れず、社会の発展や人々の生活向上のために精進され、素晴らしい未来を切り開かれることを願っています。
最後になりましたが、ご参集の皆様のご健康、ご多幸と奈良先端科学技術大学院大学のますますのご発展をお祈りいたしまして、簡単ではございますがお祝いの言葉といたします。
令和4年3月24日
公益財団法人 奈良先端科学技術大学院大学支援財団
理事長 小 林 哲 也