イベント報告 2023/10/26
情報科学領域と男女共同参画室は、男女共同参画オンラインセミナー「東南アジア理工系大学における男女共同参画の取り組み」を2023年10月23日(月曜日)に開催しました。
今回はマレーシアとタイの大学の工学系学部より本学修了生を講師として招き、両国のジェンダー平等をめぐる政策、大学の仕事と子育ての両立支援や理工系人材の次世代育成等の取組についてご講演いただきました。
マレーシア工科大学デジタルサービス学部准教授のOoi Chia Yee氏は、マレーシアでは政策の後押しにより工学系学部に進学する女子学生は36%(2022年)と年々増加していること、いっぽうで女性教員の教授比率は低調であること、ただし教員間のメンタリングやコーチングの機能によりキャリアアップを果たす例もあること等を報告されました。
タイのマヒドン大学情報通信技術学部コンピュータサイエンス学科准教授のVasaka Visoottiviseth氏は、タイでは高校入学時に選択する教育プログラムが理系、文系、文理融合に分かれており、融合プログラムは7対3で女子学生に選ばれていること、大学進学率は女性の方が高いこと、そしてタイのダイバーシティは、LGBTQコミュニティの包摂、共働き家庭の標準化、大家族での子育て等により醸成されていると報告がありました。
ディスカッションでは、理工系分野の女子学生在籍率や、女性教員のキャリアアップがテーマとなりました。司会の岡田教授が、本学の情報科学領域の女子学生比率(修士課程9.6%、博士課程18.4%(2022年))を紹介し、講師2名に比率向上に向けた取組の助言を求めたところ、中学や高校を積極的に訪問し、ミニ講義等を女子大学院生が担うと中高女子学生のロールモデルとなり有効とのコメントをいただきました。塩崎学長が、女性教員のキャリアアップを阻む要因をOoi氏に問うたところ、昇格のために海外出張を多くこなさなければならないことが女性にとっての困難のひとつと応答がありました。学長からは、日本では女性も男性も理工系の進路を希望する生徒の割合が低調であること、いっぽうで2023年にスタートしたJST次世代科学技術チャレンジプログラムNAIST STELLA参加者の40%は女子学生であったこと等の紹介もありました。