グローバルCOEプログラム「生命科学」13拠点・緊急共同アピール

2009/12/03

グローバルCOEプログラム「生命科学」13拠点リーダーにより、11月25日に行われたこのプログラムの事業仕分け結 果(「予算要求の縮減(1/3程度縮減)」)に対する緊急共同アピールを行うとともに、このプログラムの拠点で研究活動に邁進している若手研究者(大学院 生、ポスドク)の代表者から、その活動状況や成果を発表し、このプログラムを展開している大学の現場の状況や若手研究者の声を直接、国民の皆様をはじめ、 政権与党関係者に向けて広く発信し、ご理解とご支援を要請することを目的として、下記のとおり記者会見を開催します。
また、緊急共同アピール文は、川端達夫文部科学大臣、鈴木寛文部科学副大臣、高井美穂文部科学大臣政務官宛てに同日付で発送するとともに、13大学の記者クラブを通じて発信するものです。

                       記

1.日 時:2009年12月1日(火) 16:00~17:00
2.場 所:東京大学本郷キャンパス 医学部総合中央館(医学図書館)3階333会議室
     〈別 紙〉
3.日 程:16:00~16:15 記者会見
   16:15~16:35 若手研究者(大学院生、ポスドク)意見発表
      16:35~17:00 質疑応答

4.発表者
〈グローバルCOE「生命科学」拠点リーダー代表〉
 「生体シグナルを基盤とする統合生命学」
東京大学医学系研究科機能生物学専攻 宮下 保司
 「高次生命機能システムのダイナミクス」
大阪大学生命機能研究科生命機能専攻 柳田 敏雄
 「個体恒常性を担う細胞運命の決定とその破綻」
九州大学システム生命科学府システム生命科学専攻 藤木 幸夫
「フロンティア生命科学グローバルプログラム」
奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科分子生物学専攻 島本  功
ほか
〈大学院生、ポスドク代表〉 3~4名程度

5.内 容
  グローバルCOEプログラム「生命科学」13拠点リーダーにより、11月25日に行われたこのプログラムの事業仕分け結果(「予算要求の縮減(1/3程度 縮減)」)に対する緊急共同アピールを行うとともに、このプログラムの拠点で研究活動に邁進している若手研究者(大学院生、ポスドク)の代表者から、その 活動状況や成果を発表し、このプログラムを展開している大学の現場の状況や若手研究者の声を直接、国民の皆様をはじめ、政権与党関係者に向けて広く発信 し、ご理解とご支援を要請するものです。

6.その他
 この緊急共同アピールは、川端達夫文部科学大臣、鈴木寛文部科学副大臣、高井美穂文部科学大臣政務官宛てに同日付で発送するとともに、13大学の記者クラブを通じて発信します。

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緊急共同アピール
― 次世代を担う若手研究者の育成と世界最高水準の大学づくりの推進に向けて ―

平成21年12月1日
グローバルCOEプログラム
「生命科学」拠点リーダー一同

  行政刷新会議によって行われている平成22年度概算要求事業仕分けに関しては、各方面から既に様々な意見表明がなされていますが、私たちグローバルCOE プログラム「生命科学」拠点リーダー一同は、ここにこのプログラムのこれまでに果たしてきた役割や、成果等を改めて、国民の皆様をはじめ、政権与党関係者 に強くアピールし、このプログラムに対する皆様のご理解とご支援を強く要請いたします。

 このプログラムは、平成14年度から、世界最高 水準の研究教育拠点の形成を重点的に支援し、国際競争力のある個性輝く大学づくりを目指して文部科学省において推進されてきた「21世紀COEプログラ ム」の成果とその検証結果を踏まえ、「学際、複合、新領域」も含めた全ての学問分野を対象として、現代の知識基盤社会、グローバル化の進展の中で、産業界 も含めた社会のあらゆる分野で国際的に活躍できる第一級の力量をもつ若手研究者の育成機能の抜本的強化と国際的に卓越した教育研究拠点の形成を図るため、 平成19年度から開始された「21世紀における日本の将来を担う若手人材の育成」を強力に推進する5年間のプログラムです。

 このプログラムでは、
  ① 組織として充実した系統的カリキュラムを設定し、国の内外から志をもって集まるすべての大学院生に幅広く厚みのある基礎学力を与えるための取組み、
  ② 我が国の大学が第一線級の高等教育機関たり得るために不可欠と言える、国籍や性別を問わず最高の研究者、学生を招くための国際的なネットワークの構築への取組み、
  ③ 大学院生、若手研究者が独立した研究者になるためのより高い研究成果を生むべき期間の研究活動に専念できるよう、充実した経済的支援措置や、研究環境の整備
など、世界トップレベルの教育水準を目指す大学院教育の改革を先導しうるために必須である組織的・戦略的な取組が展開されています。
こ のプログラムの最大の特徴は、国際的に活躍できる若手研究者育成のために必須とされる最先端の研究活動に触れる機会を提供するための「場」を、国際的な ネットワークの構築により形成すると同時に、若者が研究活動に専念できる最高の環境を提供し、これらを学長のトップマネージメントにより、一定の規模を有 する拠点という形で機動的かつ弾力的に一体的運営を行うところにあります。これらの点は、これまでの個々の研究プロジェクトでは、実現し得なかった最大の 特徴といえ、現在展開されているグローバルCOEというシステムが最も効率的であり、他に類を見ないこのプログラムをもってこそ、初めて前述の目的達成が 可能となるものです。

この目的達成を目指して各教育研究拠点で大きく展開されており、それぞれの拠点が有する世界最高水準の優れた研究基盤の下での活動と相俟って、すでに大きな相乗効果を生み出しています。

 「生命科学」分野では、全13拠点のネットワークを形成し、各拠点での成果の発表、若手育成と交流を狙ったポスターセッションなどフォーラムの開催など、拠点間の交流も深めて参りました。具体的なこれまでの成果・効果としては、
 ① 世界のトップレベルの大学との競い合いにより、教育研究活動が活発化され、特に生命現象の解明を担う異分野間の交流が促進されていること、
 ② 競争的環境の中で、これまでの教育研究の在り方を見直し、それにより世界最高水準の教育研究を推進する体制が全体として生まれたこと、
 ③ 生命科学教育研究に対する大学の将来像が明確になり、その水準を向上させ、創造的な人材育成機能を持った教育研究体制の構築が加速されたこと、
 ④ 同時に、各大学の個性や特色を活かした自発的な教育研究活動や教育プログラムが展開され、大学院生の教育面で充実が図られ、着実な成果を挙げつつあること、
 ⑤ 優れた大学院生、若手研究者に対し、経済的支援が可能になったことにより、研究に専念できる環境が整備され、流動性の向上とともに、国内外の優秀な学生が結集することによる研究活動・水準の飛躍的な向上とキャリアパス形成への効果が顕著に見られること
などが挙げられますし、今夏の中間評価でも、概ね高い評価を得ています。

  また、事業仕分けで指摘のあった国立大学の運営制度などについても、本プログラムによって、学長のリーダーシップの下、より機動的かつ弾力的な大学の組織 編成と運営等の推進が可能となり、平成16年4月から導入された国立大学の法人化等の大学の自主性、自立性を発揮した組織運営の活性化のための制度改正と も相俟って、「大学改革の推進」に大きく貢献しているとともに、このプログラムで培われている効率的な教育研究システムが大学全体の組織編成・運営等に大 きな波及効果を挙げていると認識しています。

 ここでの定量的な数値等は、各拠点から文部科学省へ報告しておりますので、紹介いたしませんが、このプログラムが多大な成果を挙げつつあることは、明白です。

  最後に、資源のない我が国が世界に貢献し、世界から尊敬される国となるためには、教育と人材の育成に力を注ぐべきであります。少子化に向かう我が国が、今 後とも欧米との十分な国際競争力を確保するとともに、BRICsの挑戦をはねのけるためには、大学院において、国際的に第一級の力量を持つ研究者、技術者 を育成することが必要不可欠であり、国民の皆様も国際的に競争力をもつ若者の育成を切望されていると確信しております。
そのために、日本の大学が世界の第一線級の高等教育機関たり得るためには、世界水準
で最高の研究者、学生を集め、最も有効な運営をすることが強く求められ、このプログラムによる重点的支援が、そのための大きな役割を担っていることは紛れもない事実です。

  11月25日に行われたこのプログラムの事業仕分けでは、「予算要求の縮減(1/3程度縮減)」という結果でしたが、道半ばにして、教育への投資に、この ような判断が下されるとすれば、これまで国民の皆様の負託に応えるべく高い自覚をもって我が国の科学技術・学術研究の次世代の発展を切り拓くべく、研究活 動に邁進してきた若手研究者の志を挫くものであり、海外への頭脳流出さえも招きかねません。
今後、年末にかけて予算編成を行われる政権与党関係者 におかれましては、ご多忙とは思いますが、是非とも大学現場に足をお運びいただき、こうした現場の状況や、若手研究者の声を直接聴いていただき、成果・効 果を体感していただいた上で、長期的な視野から次世代を担う若手研究者の育成と世界最高水準の大学づくりのための政策推進を切に願うものです。

以 上

グローバルCOEプログラム「生命科学」拠点リーダー 一同

「脳神経科学を社会へ還流する教育研究拠点」
東北大学医学系研究科医科学専攻 大隅 典子

「生体調節シグナルの統合的研究」
群馬大学生体調節研究所 小島  至

「生体シグナルを基盤とする統合生命学」
東京大学医学系研究科機能生物学専攻 宮下 保司

「生命時空間ネットワーク進化型教育研究拠点」
東京工業大学生命理工学研究科生命情報専攻 白髭 克彦

「システム生命科学の展開:生命機能の設計」
名古屋大学理学研究科生命理学専攻 近藤 孝男

「生物の多様性と進化研究のための拠点形成」
京都大学理学研究科生物科学専攻 阿形 清和

「高次生命機能システムのダイナミクス」
大阪大学生命機能研究科生命機能専攻 柳田 敏雄

「統合的膜生物学の国際教育研究拠点」
神戸大学医学研究科医科学専攻 片岡  徹

「フロンティア生命科学グローバルプログラム」
奈良先端科学技術大学院大学バイオサイエンス研究科分子生物学専攻 島本  功

「個体恒常性を担う細胞運命の決定とその破綻」
九州大学システム生命科学府システム生命科学専攻 藤木 幸夫

「細胞系譜制御研究の国際的人材育成ユニット」
熊本大学発生医学研究所 粂  昭苑

「ピコバイオロジー:原子レベルの生命科学」
兵庫県立大学生命理学研究科生命科学専攻 吉川 信也

「In vivoヒト代謝システム生物学拠点」
慶應義塾大学医学研究科医学研究系専攻 末松  誠

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