災害等の非常時に対応できる新ネットワーク技術の標準化の可能性を示した ~NEXCO西日本による最新の交通管制システムの実証実験で~

2014/05/15

【概要】
奈良先端科学技術大学院大学(奈良先端大、学長:小笠原直毅)情報科学研究科情報基盤システム学研究室(藤 川和利教授、猪俣敦夫准教授、大平健司特任助教)は、西日本高速道路株式会社(大阪市北区、代表取締役社長:石塚由成、以下、NEXCO西日本)が導入し た、大災害など緊急時にバックアップできる新通信ネットワーク技術の制御装置をベースにした交通管制システムを構築する際の実証実験に協力しました。この 結果、このネットワーク技術が標準規格と成る可能性を示しました。

このネットワーク通信技術は、「OpenFlow/SDN通信ネット ワーク技術」。ネットワークに接続された多種の通信機器のスイッチの様式などに関わらず制御できる技術として注目され、標準化が進められています。しか し、実装が異なる機種の間での整合性などの検証がまだまだ必要なものでもあります。

NEXCO西日本は、この技術を活用した世界初の大規模システムとして、大災害で道路管制センターが重大な被害を受けた場合、他の被災しなかったセンターが短時間で最低限の機能を肩代わりできるシステムを構築しています。

今 回の標準規格準拠性についての実証実験は、ネットワークシステムの変化に柔軟に対応できる「OpenFlow」のスイッチを備えた100台を超える通信機 器を配し、NEXCO西日本が新交通管制システムとして実運用することを想定したトポロジ(配線方式)で行われました。情報基盤システム学研究室はネット ワークの制御装置として開発したコントローラを、このシステムに接続し、スイッチの接続・設定投入にかかる時間や負荷の評価、データの転送設定が意図通り に実行されているかどうかの確認などを行いました。(図参照)

今回の実証実験により、大規模なスイッチ群により構成されたネットワーク上の経路切り替えや障害復旧などの可能性が示されました。今後の標準化作業においても大きな知見を与えるものと考えられます。

なお、本ネットワークの詳細な構築目的等につきましては、NEXCO西日本のプレスリリース( http://corp.w-nexco.co.jp/corporate/release/hq/h26/0430b/)をご覧ください。

【用語説明】
SDN:Software Defined Networkの略。変化に対応して管理可能で、費用効率が高く柔軟性のある新しいネットワークの基本設計概念。この概念の下では、ネットワーク制御機能 と転送機能が分離されており、制御機能の部分は直接プログラムを組んで変えることが可能になる。

OpenFlow:SDNの概念を実現するためのプロトコル(通信規約)のひとつ。制御装置で通信機器を集中管理し、ネットワーク構成の変更などができる。

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