第33回奈良先端大産学連携フォーラムの開催について 「Deep Learningを利用したさまざまな研究の紹介」

2018/06/15

 このたび、国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学(学長:横矢直和)は、第33回奈良先端大産学連携フォーラムを開催することとなりました。

 今後ディープ・ラーニングを用いた研究の進展がますます期待されますが、それをビジネスにどのように活かすのか、どのように法規制をクリアーにしていくかについては未だ不明な点が多く存在します。本フォーラムは、本学先端科学技術研究科 情報科学領域及びデータ駆動型サイエンス創造センターにてディープ・ラーニングを活用し実施している最先端研究を紹介すると共に、本技術の法律問題において活躍しておられる福岡弁護士に課題を指摘して頂き、これからのビジネスの方向性について考えるきっかけとなること及びご参加いただきましたみなさまの交流を目的として、下記のとおり開催いたします。

概要

名称
第33回奈良先端大産学連携フォーラム 「Deep Learningを利用したさまざまな研究の紹介」

実施日時
平成30年7月23日(月)13:30~17:00 ※13:00~ 受付開始

実施場所
関西経済連合会 中之島センタービル29階会議室(大阪市北区中之島6丁目2-27)

定員
100名 ※申込先着順で定員になり次第、締め切らせていただきます。 ※参加費無料

プログラム

  • 研究紹介講演[13:35~15:25]
    「計算機による科学技術論文の解析と知識獲得」
     先端科学技術研究科 情報科学領域 自然言語処理学研究室 助教 進藤 裕之

    「グラフ畳み込みニューラルネットワークを用いたアルカロイド類の代謝経路の予測モデルの構築」
     データ駆動型サイエンス創造センター データサイエンス部門 准教授 小野 直亮

    「スモールデータ強化学習でロボットの行動規則を最適化する」
     先端科学技術研究科 情報科学領域 知能システム制御研究室 准教授 松原 崇充

    「話しながら聞くことによって学習するマシン」
     先端科学技術研究科 情報科学領域 知能コミュニケーション研究室 特任准教授 Sakriani Sakti

  • 弁護士講演[15:25~16:25]
    「AI開発におけるデータの取扱いの法律問題」:西村あさひ法律事務所 弁護士 福岡 真之介

  • 研究推進機構の紹介[16:25~16:35]
    研究推進機構 産官学連携推進部門 部門長 久保 浩三

  • 情報・意見交換会[16:35~17:00]
    講師との情報・意見交換の時間を設定しております。ぜひ、積極的にご交流ください。

申込先
公益財団法人 奈良先端科学技術大学院大学支援財団 企画事業部
TEL:0743-72-5810 FAX:0743-72-5819 Mail:ashida@science-plaza.or.jp

協力
公益財団法人 関西文化学術研究都市推進機構

研究紹介講演要旨

「計算機による科学技術論文の解析と知識獲得」
先端科学技術研究科 情報科学領域 自然言語処理学研究室 助教 進藤 裕之

 世界では年間120万件以上の科学技術論文が生まれている。そのため、専門分野のデータベース構築や論文内容の理解には膨大な時間と手間を要し、この傾向は今後ますます顕著になっていくと考えられる。本講演では、これらの問題を解決するために、機械学習技術に基づく科学技術論文の解析と、人間と機械の協調によって専門知識を半自動的に蓄積していく仕組みについて紹介する。

「グラフ畳み込みニューラルネットワークを用いたアルカロイド類の代謝経路の予測モデルの構築」
データ駆動型サイエンス創造センター データサイエンス部門 准教授 小野 直亮

 近年、画像認識や音声合成など、多くの分野で深層学習を用いたアプリケーションの開発が進んでいるが、化学の世界でもグラフ畳み込みネットワークを分子式に適用することで、多種多様な分子の構造が持つ特徴を数値ベクトルに変換し、物性の予測に用いるモデルの開発が進められている。本講演では植物を中心とした二次代謝物質のデータベースを元に、さまざまな毒性・薬効を持つ化合物であるアルカロイド類の代謝経路を分子構造から予測する深層学習のモデルについて紹介する。

スモールデータ強化学習でロボットの行動規則を最適化する
先端科学技術研究科 情報科学領域 知能システム制御研究室 准教授 松原 崇充

 膨大な試行錯誤を通じて収集されるビッグデータから行動規則を学習する強化学習が、ビデオゲームや囲碁で人間以上の性能を達成し一躍脚光を浴びている。しかし、ロボットではビッグデータを収集できないため、その適用は容易ではない。本講演では、現実に収集可能なスモールデータから行動規則を学習する強化学習技術や、柔軟物操作ロボットや外骨格ロボットへの応用研究について紹介する。

「話しながら聞くことによって学習するマシン
先端科学技術研究科 情報科学領域 知能コミュニケーション研究室 特任准教授 Sakriani Sakti
 過去数十年にわたり、自動音声認識やテキストからの音声合成技術の開発により、コンピュータが聞き方、話し方を学習できるようになった。一方、人間は、自分で何度も発音を繰り返しつつ、発話された音声を聞くことで話し方を学ぶ。聞くことと話すことを同時に行うことにより、自分が話す言葉の音量や発音、相手に理解される内容かどうかを確認しているのである。したがって、話者の口から耳への聴覚フィードバックという閉ループのスピーチチェインメカニズムが重要である。本講演では、深層学習を用いて、聞くだけ、話すだけではなく、話しながら聞くことを学習するマシンスピーチチェインについて紹介する。

弁護士講演要旨

「AI開発におけるデータの取扱いの法律問題 」
西村あさひ法律事務所 弁護士 福岡 真之介
機械学習を利用したAI技術が発展する中、開発成果がデータに依存するAIの研究開発では、 様々なデータをいろいろな角度で投入して試行錯誤で探索的に研究開発を進めていくことが多い。 一方で、経済産業省は、データの利用権限やAIに係る責任関係・権利関係を含む法律問題について適切な契約の取り決め方法の検討を行うため、2017年12月に「AI・データ契約ガイドライン検討会」を設置し、そこで策定したガイドラインを公開している。この検討会に委員として参加し、ガイドライン策定に携わった経験を基に、AI技術を利用した探索的段階の研究開発における、知財、データの取扱いに関し、事例を含めた講演を行う。

前回(第32回)の様子

本プレスリリースに関する問合せ先

奈良先端科学技術大学院大学 研究・国際部 研究協力課
担当:水城、坂本
TEL:0743-72-5930  FAX:0743-72-5194  E-mail:ken-sui@ad.naist.jp

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