研究成果 2022/08/02
新手法で植物の持つ強靭な環境適応力の物理に光
~原子間力顕微鏡によるミクロな物理計測に 建築学のマクロな構造理論を適用~
概要
植物細胞は、硬い細胞壁が浸透圧に起因する内圧(膨圧)による膨らみを抑えることで形作られています。植物は水の取り込みによって内圧を巧みに制御することで、雨風などに立ち向かう直立姿勢を維持する強靭な環境適応力を持っていると考えられています(図1)。そのため、細胞内圧と細胞壁の性質の関係を理解することが植物科学の重要な課題でした。
細胞の形や細胞壁の性質を詳細に測定する方法として原子間力顕微鏡(AFM)が知られています。しかし、AFMで測定される値には細胞壁自身の持つ外力に対する抵抗力(曲げ剛性、いわゆる硬さ)と膨圧に依存する諸々の成分(膨圧、張力)が含まれており、物理量として分離することが具体的な課題でした(図2)。
秋田県立大学、奈良先端科学技術大学院大学、東京大学生産技術研究所の共同研究グループは、タマネギ表皮細胞のAFM実験によるミクロな解析に建築構造学で用いられるマクロな構造理論で知られる「弾性シェル理論」による力学モデルと、レーザー穿孔による膨圧解放を組み合わせて、AFM計測で細胞壁弾性成分と内圧成分を分けて推定することに初めて成功しました。
この知見を利用することにより、表皮細胞をはじめとする植物の花、葉、根、茎などの様々な器官の細胞壁弾性とその内部の内圧を同時推定することができ、植物の力学的性質を明らかにする革新的な手法になる可能性があります。
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問い合わせ先
<研究に関すること>
- 秋田県立大学システム科学技術学部機械工学科
助教 津川 暁(つがわ さとる)
TEL:0184-27-2191 Email:tsugawa[at]akita-pu.ac.jp -
奈良先端科学技術大学院大学
教授 細川 陽一郎(ほそかわ よういちろう)
TEL:0743-72-6095 Email:hosokawa[at]ms.naist.jp
<報道に関すること>
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三浦 大翔(みうら ひろと)
TEL:0184-27-2021 Email:office_honjo[at]akita-pu.ac.jp
- 奈良先端科学技術大学院大学 企画総務課 渉外企画係
TEL:0743-72-5063/5026 FAX:0743-72-5011 Email:s-kikaku[at]ad.naist.jp -
東京大学生産技術研究所 広報室
TEL:03-5452-6738 Email:pro[at]iis.u-tokyo.ac.jp
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