Mayuka Tsuji
辻 茉佑香
先端科学技術研究科
情報科学領域
光メディアインタフェース研究室
学部でお世話になった大学もとてもいいところだったのですが、博士後期課程への進学(D進)を考えていたこともあり、修士のうちから実家を離れて研究と生活的自立の両方を修行していきたいと考えていました。
NAISTを選んだのは、学外からの飛び級入学が可能だったこと、研究環境が充実していて心置きなく5年間を過ごせそうだったことが大きな要因です。さらに、NAISTは物価が安く治安もいい奈良県にあるため、安心して一人暮らしデビューができ、アルバイトで身を粉にせずとも研究に専念できる見込みがあったことが決め手となりました。
光メディアインタフェース研究室は、光が眼(あるいはレンズ)に届くまでの空間中の光の物理現象に着目して、新しいインターフェースを創造することを理念としています。この理念を幹として『コンピュータビジョン』、『コンピュータグラフィックス』 、 『コンピュテーショナルフォトグラフィ』 、 『光学システム設計』の4分野の研究が行われています。
本研究室は海外大学との人材交流が盛んで、この1年でフランスから6名、アメリカから1名の研究インターン生が来ました.おかげで、留学生の役所手続きやスマホ契約のお手伝いができるようになっていたり、国際学会の口頭発表を追えるようになっていたりと、気づかぬ間に英語力が格段に伸びたのを実感しています。
研究室の人数(単位:人)
教授 | 准教授 | 客員准教授 | 助教 | 博士前期課程 | 博士後期課程 | インターン |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 1 | 1 | 18(3) | 3 | 1(1) |
※人数横の()内数値は女性の人数
CICP
情報科学領域では、学生が研究室から独立してやりたい研究テーマを自由に提案・遂行できるCICPという研究公募プロジェクトがあります。私は昨年度これに応募して採択され、研究の成果を3月の国内学会で発表しました。
面接や成果発表などすべてが英語で実施されるので苦労もしましたが、修士1年生の時点で研究資金を頂いて一連の研究能力を養えたのはとても貴重な経験だったと感じています。
第26回画像センシングシンポジウム(SSII2020)
前述のCICPとはまた異なる研究の成果を6月に発表しました。参加者2300人という非常に規模の大きい学会です。
COVID-19の影響でオンラインでの開催でしたが、当日は研究室の設備をフル活用して,カメラを切り替えながらデモの様子をライブ中継し、オーディエンス賞(参加者投票1位)を頂くことができました。
関西は文化資本が豊かなので、博物館や寺社仏閣に行くのが休日の楽しみになっています。基本的には一人で好き勝手に出かけていますが、友人たちと展覧会や能楽鑑賞に行くこともあります。
また、NAISTでは年に数回のバスツアー企画があります。先着順ですが、私はここで平安神宮や京都近代美術館、東大寺などをガイドさんの解説(英語)付きで楽しむことができました。このツアーで仲良くなった留学生たちとは今でも交流が続いています。
とりわけ女性の少ないコミュニティにいると、女性であることが必要以上のインパクトを生むことがありますし、どんな個性を持っていても「〇〇ジョ」などといった謎勢力による謎カテゴライズで一様化されがちです。それに対して、 NAISTは学生全員が外部からやってくるため多様性があり、自分のラベルに負い目を感じず研究に打ち込めるので大変ありがたい場所だと感じています。
ただ、NAISTに限らず情報科学の女子率はかなり低いのが現状です。これが進路選択において「情報科学は生物学的に女性に向かない分野だ」というバイアスをもたらさないか少し心配しています。まったくそんなことはないというのが私の実感なので、どんな人でも興味があれば自分のあり方に自信を持ってチャレンジしてほしいということを、あえて「女子大学院生」という肩書のもとでお伝えしたいです。
(令和2年7月)