最先端の研究の面白さや研究者のポジティブな部分を体験
木村 大海Hiromi Kimura
国立研究開発法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター 分析計測標準研究部門 放射線イメージング計測研究グループ
出身研究室:量子物理工学研究室
私は2022年4月より国立研究開発法人産業技術総合研究所 放射線イメージング計測研究グループの研究員として、インフラ等の大規模建造物を対象とした非破壊検査の高度化に向けた放射線検出器の開発を行っています。放射線検出器には様々な種類がありますが、放射線が当たると光る蛍光材料(シンチレータ)と光検出器を組み合わせたものは、高い検出効率のため医療、セキュリティ、インフラ診断等幅広い分野で用いられています。一方で現状の検出器は、検査時間が長いことや被ばく線量が大きいことなどの様々な課題が残されています。私は検出器の感度に直結するシンチレータを新規開発し、放射線検出器に搭載することで、被ばく量の低減、検査時間の短縮、検査精度の向上を目指して研究を行っています。
奈良先端大では量子物理工学研究室(旧:センシングデバイス研究室)に所属し、柳田 健之教授の下で現在の研究テーマと同様の放射線計測用材料に関する研究を行っていました。研究室配属当初、私は博士課程進学も研究者の道に進むことも全く考えていませんでしたが、柳田教授により最先端の研究の面白さや研究者のポジティブな部分を体験させていただき、いつの間にか自分も研究者になりたいと思うようになりました。また研究テーマの決め方から研究の進め方まで一から丁寧にご指導いただきました。その際に不要な研究・実験を避けるために、研究に着手する前に徹底的に先行研究を調査し、新規性や研究の意義を明確にしてから研究を始めるといった研究活動の基本から、漠然とした目標を設定するのではなく、目標を細分化・具体化するなどシステムの重要性を学びました。これらのことをベースにコンスタントに研究活動を進めることで、博士課程修了時には査読付き国際誌に70報(内、主著:18報)採択される成果を残すことができました。今後は産総研の研究者として奈良先端大で学んだことを活かして、社会に役立つ研究を行っていきたいと考えています。
最後に奈良先端大には自由に最先端の研究活動を行える環境が整っています。自分のやりたいことを明確にし、それに向かって正しい努力を積み重ねていただくことが、在学生の皆様の今後の糧になると信じております。