自分の研究がどのように社会や科学に貢献するのかを改めて見直す
山﨑 将太朗Syotaro Yamazaki
大阪大学 微生物病研究所 附属バイオインフォマティクスセンター 生物情報解析分野 RNA情報学グループ 准教授
2015年度博士後期課程修了
バイオサイエンス研究科 植物代謝制御研究室
私は2024年4月より、大阪大学微生物病研究所附属バイオインフォマティクスセンター生物情報解析分野の准教授としてRNA情報学グループを主催しています。主に基礎研究として「選択的転写機構や転写後調節機構の解明」を、応用研究として「導入遺伝子の高発現や核酸医薬の改良に有用な技術の開発」を行っています。
現在、若手PIとして自分が望む研究を行えているのは、奈良先端大での経験のおかげです。私は、植物代謝制御研究室(出村 拓教授)に所属し、加藤 晃教授(現バイオエンジニアリング研究室)の下で植物のmRNA翻訳制御に関わる研究を行っていました。研究当初はwetな実験ばかりでしたが、博士後期課程に進学後は、dryなデータ解析にも挑戦させていただきました。試行錯誤の連続で結果が出ない期間も長かったのですが、辛抱強くサポートを頂き、今では「バイオインフォマティクスが私の主たる研究分野である」と胸を張って宣言できるようになりました。この経験が自分の研究分野を発展させ、現在のような高い評価を受けるきっかけになったことは間違いありません。加藤先生、出村先生、当時の研究室の皆様には本当に感謝しております。
学生の皆さんには、「1つの方向性を極める」場合でも、「幅を広げる」場合でも、新たな戦略や手法に積極的に挑戦してほしいです。その挑戦で得たことは、きっと皆さんの糧になります。一方で、新たな挑戦をする際には、モチベーションを維持することが難しいこともあります。そのためには、まず自分の研究を好きになることが大切だと思います。自分の研究に対する情熱があれば、新しいことに挑戦することも自然と楽しめるようになります。研究熱を高めるために、自分の研究がどのように社会や科学に貢献するのかを改めて見直してみてください。自分の研究成果を誇れるように、自分自身で研究戦略を発展させてください。少し説教臭くなってしまいましたが、皆さんが研究活動を楽しみ、素晴らしい成果を得ることを心から願っています。
奈良先端大での博士研究員時代から継続して取り組んでいる、有用タンパク質の生産効率向上に関する研究の一例です。奈良先端大在籍時に培ったさまざまな技術を用い、遺伝子発現制御機構の解明と発現系の改良に取り組んでいます。