知的財産権Q & A
1. 知的財産権って何?
知的財産権は、人間の創造や創作、工夫等の知的活動によって生じる価値のある財産(知的財産)を守る権利です。 知的財産権の中に特許権、実用新案権、商標権、意匠権、著作権等が含まれます。 研究者にとっては、研究という知的活動から生じる、価値ある研究成果(有形物・無形物含む)が知的財産権の保護対象となります。
2. 知的財産権を持っていると、どんないいことがあるの?
知的財産権は、その権利対象物の発明者・創作者に対し、公開の代償として独占権を与えるものです。 研究者にとっては、自分の作り出したさまざまな知的財産に対し、他人に勝手に使用されることを抑止するための法的な権利を付与されることになります。 企業にとっては、製品開発のリスクや投資の代償として、独占的に実施する権利が付与されることになります。
3. 大学なのに、どうして知的財産権を持つ必要があるの?
大学の研究はそのほとんどが国の税金により行なわれています。 その中で生じた価値ある研究成果を社会に送り出し、産業化することで、日本の科学技術力の強化を図り、日本国民および日本国に対する社会貢献をしていこう、というのが近年の国の政策および各大学の方向づけになっています。 大学の知的創造物を企業に移転し、事業化してもらうためには、権利が確保されたものである必要があります。 従って、大学が自らの発明に対して知的財産権を取得する必要があるのです。
4. 大学の発明ってどんなもの?
情報:計測装置や通信手段など
バイオ:実験動植物や細胞、遺伝子、スクリーニング方法等
物質:新規化合物、半導体回路、特殊材料、生体材料等
*なお、プログラムやデータベースは「著作物」として扱います。
5. 職務発明ってなに?
本学では、大学と雇用契約を有する職員が、大学での研究テーマの範疇で、あるいは大学の機器(PC、図書館含む)を使用して行なった知的活動の結果生じた発明を「職務発明」として扱います。 職務発明は原則として大学帰属になります。 例えば情報の教員個人が趣味として、自宅で、自身の研究テーマとはまったく関係の無いバイオ系の実験をした中で生じた発明についは「職務発明」として取り扱われません。
6. 発明をしたら、だれに言えばいいの?
産官学連携推進部門にご連絡ください。 発明かどうかわからない場合、これからの研究で発明を生じさせるためのアドバイスがほしい場合にも、産官学連携推進部門までお気軽に御相談ください。 また、発明が生じた場合には、「発明届出書」の提出を願います。 その後、担当者がヒアリングに伺い、更には産官学連携推進部門の全員で発明の承継の可否を検討するためのプレゼンテーションを行なっていただきます
7. 共同研究で発明が生まれたら?
発明が生じた旨を産官学連携推進部門までご連絡ください。 共同研究の場合、共同研究契約に基づいて(相手が企業の場合)、あるいは当事者同士の話し合いによって(相手が学術機関の場合)、発明の取扱いを決定します。
8. 兼業で発明が生まれたら?
発明が生じた旨を産官学連携推進部門までご連絡ください。兼業の場合は、原則として兼業先との事前の取り決めに従います。
9. 発明をしたら、特許をとらなければいけないの?
職務発明が完成した場合、発明の中身を吟味する産官学連携推進部会にて、大学帰属とするかどうかの判断(承継判断)がなされます。 大学帰属となった発明については特許出願をするかどうかも含め、発明者の意向を聞きながら産官学連携推進部門で扱いを定めます。 大学帰属となったものの多くは特許出願を行ないますが、プログラム著作物や研究試料等、一部の知的財産については著作権や契約による権利保護を行なうこともあり、全ての発明について特許出願をするわけではありません。
10. 特許はどうやってとるの?
特許庁に対して、特許出願を行ないます。 日本では、特許出願後3年のうちに「審査請求」の手続をすることで特許庁による審査が始まります。 審査の過程で、類似の先行技術等があれば、特許庁は特許を付与できない旨の通知がなされます(拒絶理由通知等)。 これに対応(反論や特許内容の補正など)できれば、特許権を付与する査定がなされます。 特許権取得は審査請求から2~3年程度(本学の標準的期間)かかります 。