未来の共創に向けて
かつてユーラシアの国々とシルクロードでつながり、国際色豊かな文化が花開いた奈良に、国立の大学院大学として1991年に設置された奈良先端大には、国内外から多様な人材が集い、科学技術の基盤を成す最先端の研究の推進と高度な専門性を持った人材の養成をとおして、文化の創造と社会の発展に貢献してきました。
奈良先端大が、学部を置かない独立大学院という先導的な「実験大学」として設置された背景には、科学技術の急速な進展に対応できる柔軟な組織編成を可能にするとともに、高等教育における学生の流動性を高め、我が国の教育研究を活性化する狙いがありました。
今年、奈良先端大は創立30周年を迎えます。先端科学技術分野における卓越した研究、従来の大学院像に縛られない教育改革、そして高度な専門性を持った優れた人材の継続的な輩出というこれまでの成果は、奈良先端大が大学院大学という形態の機能性と可能性を実証する実験大学としての当初の役割を果たしたことを示しています。
次の30年に向けて、奈良先端大は「共創」をキーワードに新たな大学院像の創出に挑戦します。 2018年度から全学を単一の研究科とする1研究科体制に移行し、その準備は整っています。教職員・学生が課題やアイデアを共有し、共に議論し、協働によって本学のミッションを実現するキャンパスコミュニティーを醸成していきます。さらに、本学の共創の輪を国内はもちろん、グローバルに拡大することで、科学技術の進歩と社会の未来に寄与する、より大きな力を生み出すことを目指します。
このNAIST 2.0とも呼ぶべき新たなフェーズを始動するにあたり、奈良先端大が目指すべきところ、重点的・戦略的に取り組むべきところを取りまとめ、本ビジョンとして共有することを「共創」の第一歩とします。これより構成員の一人ひとりが、挑戦の証である失敗を恐れることなく、新しい大学院大学像の創出に向けて歩みを進めます。
学長ビジョン2030について
2030年を見据えた奈良先端大の方向性である4つの「ビジョン」、ビジョンヘの到達のための中長期の目標である16の「目標」、ビジョンや目標を達成するための主要な施策や取組である16の「戦略」から なります。
(1) 教員、学生、研究者が担う学術研究の卓越性と多様性の強化
(2) 奈良先端大の強みを活かした新たな課題解決型融合研究分野の共創
(3) 異分野共創によって世界的課題に挑戦できるイノベーション人材・リーダー人材の育成
(4) 国内外の大学や研究機関との共創による教育研究の高度化
(5) 多彩な発想や変化への柔軟性をもたらす教職員・学生の多様性・国際性の向上
(6) 広く学内外から専門的知見やアイデアを集約する体制の強化
(7) 自己実現の場としてのキャンパスへの帰属意識を高める学内広報の推進
(8) 次世代の大学リーダーシップ育成を目指した教職員の運営/経営参画の推進
(9) 社会的課題の解決に向けた産学連携とイノベーションの創出
(10) 社会の変化と進化を見据えた教育プログラムの継続的な整備
(11) 学外のステークホルダーとの双方向コミュニケーションの活性化
(12) 戦略的なブランディングによる研究力/教育力/社会貢献の可視性の向上
(13) 学内資源の有効活用と配分の全学的なマネジメント
(14) 財源の多元化による財務基盤の安定化と教育研究環境整備への積極的な投資
(15) 大学・社会への多様な貢献を考慮した人事評価と人材育成
(16) デジタルキャンパスの推進による大学機能の効率化と強靭化
「学長ビジョン2030」の全文
学長ビジョン2030(2021年4月1日)(PDFファイル)