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花井 悠真 Yuma Hanai

バイオサイエンス領域 RNA分子医科学 岡村研究室 博士後期課程1年

出身:日本・三重県

学部での研究内容:2型糖尿病に関する研究

大学院での研究内容:新規ゲノム編集技術の開発

NAISTに入るまで

学部時代は農学部に所属し、食品や植物など、人や社会と密接に関わっているテーマに取り組んでいました。農業サークルにて野菜を作り、どうやって地域とコミュニケーションをとるのか、どのように地域に貢献できるのかを考えていました。こういった活動を通して、もっと基礎的な研究に取り組みたい、研究者とはどんなことをしているのか知りたいと思うようになりました。修士課程へ進もうと考えた時、NAISTを最初に調べました。宮崎大学の卒業生にすでに進学された方が何人かいて、実績のある大学から調べようと考えたからです。進学先のリストの一番上にNAISTがありました。調べ始めたら、岡村先生がNAISTに着任されるタイミングと私の入学する時期が同じになるとわかり、研究室の初期の代に入れば先生と密接に関われることに魅力を感じました。また出身地からも近い条件だったのも、選んだ一因だったと思います。

入試説明会のために大学を初めて訪れた時、キャンパスはとても綺麗で学生宿舎の数も充実していました。また説明会を通して、授業料免除や博士後期課程の学生への補助が他の大学よりも充実しているとわかり、それもNAISTを選ぶ大きな要因になりました。また、他の大学院に進学するのとは違って全ての学生のスタートダッシュが同じということも安心材料になりました。

現在の研究内容と研究生活

大学院のテーマは、学部時代のテーマと違いがありすぎて、やりたいことはむしろありませんでした。ただ、これは岡村研究室の特徴でもあるのですが、研究室配属後すぐ2ヶ月程度のトレーニング期間があり、そこで岡村先生がそれぞれの学生の適正を見てくださいました。どういう人間で、何ができそうかを調べ、同時に本人の興味関心も聞いてくれました。それらを統合した上でいくつかのテーマを提案してくださり、その中から話し合って、自分に適したテーマを決めることができました。

岡村先生がもともと海外で研究室を運営されていたこともあり、基本的にゼミ運営も論文紹介も英語で行われます。修士課程の1、2年の頃は英語でのコミュニケーションに壁を感じましたが、もう3年経つので少しずつ慣れてきました。研究室のメンバーとの繋がりを良くしたい、雰囲気を良くしたいという気持ちを持ち続けて、積極的に英語で質問や議論することで、今は英語でのゼミ発表も上手くなってきたと思います。留学生との日々の雑談も英語でするし、文化の違いなど新しい発見も多く毎日が楽しいです。

こういった英語でのやりとりは、私を含め同期のメンバーに率先して英語で話しかけようという人が多かったこともあり、自然とこういう雰囲気になったのだと思います。今年配属されたばかりの日本人学生はまだ慣れていないかもしれないですが、徐々に慣れていき楽しくなってくると思います。

研究室内で立場の違いによる扱いの差などはなく、助教の先生がたも優しいです。実験についても「最近どう?」と相談に乗ってくださいますし、歓迎会などのイベントも積極的に進めてくださいます。

領域棟の玄関に「共創コミュニティー宣言」のプレートがあって、「今年からこういうのをするのか」と内容を読んで、頭に残っていました。それで、「ジェンダーがわかると科学は拡がる!?」のセミナーの案内がメールで回ってきたとき、共創コミュニティー宣言がもともと頭にあったことと、あまり聞いたことがないテーマだと思ったこともあって、参加してみようと思いました。昔から、科学の分野に女性が少ないのでは、という疑問があったので、最近の日本はどうなのだろう、雇用は進んでいるイメージがあるし、もう大丈夫なのではないかと思って話を聞きに行きました。そうしたら、全然そんなことはなくて、女性教員が増えていると思っていたけれど、まだまだ少ないのが現状であるという事実に驚かされました。

セミナーでは、医薬品や工業製品などの開発の際に性差分析を取り入れるというジェンダード・イノベーションについても扱われていましたが、今回セミナーに参加した人が「そういえばそうだな」とハッと気づく程度で、多分、みなあまり考えていないと思います。なぜなら一般的な動物実験ではメスはホルモンの性周期があるから実験から外す、それがルール、ということで私は疑問にすら思っていませんでした。

NAIST研究環境の課題

研究環境は他の大学と比較してとても良いと思います。この実験をしたいと思ったらその設備があるので、したい→ある→できる、と悩まなくていいです。また技術上の問題点があったとしても、習熟している研究者を学内で探しやすいというのも利点の一つだと思います。

学内ではないですが、属性による生活のしづらさを強いて言うなら、私が男性でもうすぐ25歳になるが故に「まだ勉強するの?」「働いていないの?」と言われて、世間一般に何か不真面目な印象を持たれていると感じることです。これは男性ならではという部分があるのではないかと思います。親や親戚などは理解があるのですが、例えば知らない人などに自分の立場を説明するのは難しいです。この間も「大学院って何?」「留年しているの?」「浪人したの?」と言われ、しっかり説明しないと伝わらないものです。

博士後期課程に進学するとなると、未だに日本の女性には壁はあると感じます。私自身は博士後期課程にもともと関心はあったものの、進学するかははっきりと決めてはいませんでした。フェローシップなど経済的な補助が手厚いと知るにつれ、諦める気持ちにもならなくて、先生としっかり相談して進学を決めました。その頃研究を頑張っていた他大学の女性に「私は博士に進むけれどどうするの?」という話をしたら「世間から結婚をちゃんと考えているのかと言われるし、私自身も不安だ」と言われて。まだまだそういう家庭はたくさんあるのだと思います。

逆に海外の留学生は年齢や性別による固定観念に縛られていないと感じますね。年齢が上の方も結構いますが、自分の夢に突き進んでいます。留学生と話していて感じるのは、留学生は年齢や性別を全く壁にしていないということです。日本人の学生の大学院進学は、経済的な面だけではなく、世間一般に大学院がどれだけ認知されているか、また年齢や性別に付随する固定観念といった面にも壁があるのだと思います。

(令和5年3月)

interview content

  • 2023.3 更新

    物質創成科学領域
    Materials Science
    Nimatil Mabarroh
    Nimatil Mabarroh

    Japanese

    English

  • 2023.3 更新

    バイオサイエンス領域

    Biological Science

    花井 悠真

    Yuma Hanai

    Japanese

    English

  • 2023.3 更新

    情報科学領域

    Information Science

    大羽 未悠

    Miyu Ohba

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    English